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「高齢者は集団自決すべき」成田悠輔氏の発言に養老孟司氏ら“平均84歳”知識人が喝!「問題にする気も起きない」

社会・政治 投稿日:2023.02.21 06:00FLASH編集部

「高齢者は集団自決すべき」成田悠輔氏の発言に養老孟司氏ら“平均84歳”知識人が喝!「問題にする気も起きない」

 

高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい」

 

 こんな過激な主張の発言者は、経済学者で米イェール大学助教授の成田悠輔氏(38)。

 

 東大時代、きわめて優秀な卒業論文に与えられる大内兵衛賞を受賞し、最近は個性的なメガネをトレードマークにバラエティ番組にも引っ張りだこ。マスコミがもてはやすスター学者が、冒頭のような主張をABEMAの番組やYouTubeで繰り返し述べ、大騒動になっているのだ。

 

 

 米紙「ニューヨーク・タイムズ」(2月12日付)が一連の発言を「このうえないほど過激」と報じると、イェール大学は公式HPの成田氏のプロフ欄に「大学の見解を代表するものではない」と、わざわざ注釈を入れた。

 

 では、自決や切腹を求められた側はどう受け止めたのか。まずは東京大学名誉教授で『バカの壁』(新潮新書)著者の養老孟司氏(85)に聞いたーー。

 

「彼の発言にはいろんな背景があると思いますが、ひとつは、社会は“順送り”だから仕方がないという感覚が消えてしまっているんですね。

 

 今の若い人は、自分たちの世代ばかりが損をしているという感覚になっているんじゃないか。ウザくて邪魔な年寄りが大勢いるせいで、若い人が割を食っていると思っている。でも実際は、世代間で順送りになっているんです。

 

 僕は、定年前にさっさと大学を辞めてしまいました。大学ってのは、若い人が下に溜まっている場所なんです。「終活」をしている人も、子供に迷惑をかけたくないという思いがあるのでしょう。これも順送りの考え方です。

 

 しかし、今は長い目で世の中を見ることができない人が増えた。今だけ、カネだけ、自分だけしか見えない。

 

 そりゃ、“今”という断面で切ったら、不公平はいっぱいありますよ。しかし、長い目で見ると、結局は順送りになっているんだということが、彼にはなかなか想像がつかないのだろうけど。

 

 彼の発言については、問題にする気も起きません。放っておけばいいと思います。でも、世の中は順送りなんだという、このことだけは強調したいですね」

 

 早稲田大学名誉教授で、社会心理学者として『テレフォン人生相談』(ニッポン放送)のパーソナリティを40年以上務める加藤諦三氏(85)は、成田発言をこう分析する。

 

「こういう発言をするのは、心理的な成長に失敗した人です。現実の社会には、複雑な要素が絡んでいますが、彼のように、過激で極端な見方をする人は、その“現実”と接していないんですよ。

 

 彼の主張はあまりに極論ですが、もしかすると経済学的には正しいのかもしれない。しかし、そこには『人類が幸せになっていく』という視点が抜け落ちています。経済的な成功が、必ずしも人に幸せをもたらすものではないことは、1960年代にデイヴィッド・リースマンが論じています。

 

 人間は本来、成長するに従って、徐々に視点が増えていくわけです。しかし、彼の視点はひとつしかないのです」

 

 推理小説『たかが殺人じゃないか』(東京創元社)が、2020年の「このミステリーがすごい!」など3つの主要ランキングで1位を獲得した作家の辻真先氏(90)は、成田発言に怒り心頭だ。

 

「彼はまだ若いから、自分は死ぬはずがないと思っているのでしょうが、心配いりません。誰でも年を取るんですから。どうぞ、ごゆっくり年寄りになってください。それでも主張が変わらなかったら、そのときは自ら、高齢者問題を解決してください。

 

 私は、テレビ草創期のプロデューサーでした。今はYouTubeも観ますが、皆さん気楽にお話しされているようですね。それはいいことだと思うのですが、今回に関しては『自分が高齢者になってから言え!』と思いました」

 

 エッセイスト、農園主、画家として活躍する玉村豊男氏(77)は、成田氏の主張に一定の理解を示す。

 

「彼が『高齢者はリタイアすべきだ』と言いたいのなら、その意見には大賛成です。『日本は、既得権益に結びついた年寄りばかりいるから変化が進まない』というのは、その通りですよ。年を取ったら次の若い世代に交代しなきゃいけないと、僕も思っています。

 

 ただ、『切腹』なんて言えば、外国人は驚くでしょうね。そのくらい強い言葉を使わないと世間に伝わらないと思ったのかもしれないし、物議を醸すのも彼なりの計算だったのかもしれません。

 

 でも『一斉退場』くらいにしておけばよかった。『80歳を過ぎた政治家は退場』と言えば、もっと賛同する人がいたと思いますね。

 

 元日本赤軍メンバーで、安倍元首相を銃撃した山上徹也被告をモデルにした映画『REVOLUTION+1』を監督して物議を醸した足立正生氏(83)も取材に応じた。

 

「耳目を集めたくて言ってるだけなんだろうけど、それなら、なぜ若い世代に向けて発言しないのか。年寄りに何かを求めるんじゃなくて、若者に「集団蜂起せよ」って呼びかければいいんだ。

 

 俺の世代が「集団自決」と聞いて思い起こすのは、沖縄戦であり、バンザイクリフだよ。この言葉にはそういう意味がある。この男は日本の歴史を知らないのか。あるいは想像力が欠如しているのか」

 

 本誌は、哲学者で文学者の柄谷行人氏(81)の自宅にも訪れた。成田氏は中高生時代、柄谷氏が主宰する社会運動グループに参加していたことがあるためだ。

 

「発言は知っていますが、事情がよくわからないんです。正直、興味もない。だから無責任なコメントはしません」 

 

 以上の6人に比べれば“ヒヨッコ”同然の成田氏だが、老害化する前に表舞台から消えたりして。

( 週刊FLASH 2023年3月7日号 )

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