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「コオロギ食の危険性を食品安全委員会が指摘」はデマだった!専門家が徹底解説「最大のリスクは甲殻類と同様のアレルギー」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.02.24 19:47 最終更新日:2023.02.25 11:40

「コオロギ食の危険性を食品安全委員会が指摘」はデマだった!専門家が徹底解説「最大のリスクは甲殻類と同様のアレルギー」

コオロギ

 

 2月20日、「コオロギ」がTwitterでトレンド入り。河野太郎・デジタル大臣が19日、徳島市内で、ベンチャー企業が養殖したコオロギを試食したことが報道されたことの影響のようだ。SNSには、

 

《食用コオロギ食べたことあるけど意外にいけるよww》

 

《コオロギを食べるのにみんな生理的嫌悪感で沢山言ってるけど、カニもエビも冷静に見たら外見似てるし、何が違うの…?と思ってる》

 

 

 という意見もあるが、圧倒的に多いのはネガティブな意見だ。

 

《百歩譲ってイナゴはまだしもコオロギは無理》

 

《コオロギは食べるなんて嫌。生理的嫌悪感で耐えられない》

 

 そうした意見のなかで、目立っているのが

 

《内閣府・食品安全委員会はコオロギ食の危険性を指摘》

 

《内閣府の食品安全委員会も昆虫食アレルギー源性になると提言している》

 

 というものだ。

 

 食品安全委員会は、2018年9月、EFSA(欧州食品安全機関)が公表した「食品としてのコオロギのリスクプロファイル」の文書を紹介しており、そこでは「懸念」として

 

(1)総計して、好気性細菌数が高い。
(2)加熱処理後も芽胞形成菌の生存が確認される。
(3)昆虫及び昆虫由来製品のアレルギー源性の問題がある。
(4)重金属類(カドミウム等)が生物濃縮される問題がある。

 

 との記載がある。前出のツイートは、これをもとにしたものだ。はたして、これをどのように解釈すればいいのだろうか。

 

「『内閣府食品安全委員会が、コオロギ食を危険だとして警鐘を鳴らしている』というのはデマです」と言うのは、科学ジャーナリストで、食品安全委員会のメンバーでもある松永和紀氏だ。

 

「まず、日本の内閣府は、昆虫食の安全性についての何の見解も示していません。内閣府食品安全委員会は、国民の健康保護のための、リスク評価とリスクコミュニケーションが業務。

 

 国際機関、各国政府機関などの発表した食品安全に関する情報を収集分析し、日本語の要旨をHPなどで公開しています。問題とされた文書は、EFSAの文書を紹介しているだけで、食品安全委員会の見解というわけではないのです」

 

 そして、個人的な見解として、「根拠とされたEFSAの文書が、正しく理解されていないと思う」と松永氏は続ける。

 

「あの文書は、その時点での懸念を示したものであり、指摘された内容は、一般の食品についてリスクとして語られるものと、ほぼ同様です。

 

(1)については、好気性細菌は、動植物すべての食品に含まれており、加熱して殺菌して食べています。加熱殺菌しないことにより、ユッケの食中毒死亡事件とか、鳥刺しで食中毒とか、しばしば問題が生じています。好気性細菌が怖いというのは、昆虫食だけの問題ではありません。

 

(2)も一般食品と同じで、芽胞形成菌が生き残っている加熱食品は多数あります。レトルト食品の条件(120℃以上で4分間以上の加熱)であれば、芽胞形成菌は死にますが、そんな加熱をしていない食品は多数あって、私たちは普通に食べています。コオロギだけが、という話ではないのです。

 

(3)については、これが昆虫食の最大の問題だ、と多くの科学者が指摘しています。甲殻類アレルギーを引き起こすアレルゲンと同じタンパク質やよく似たタンパク質を昆虫も持っていることが多いためです。

 

 ただ、アレルギーを持つ人がいるから甲殻類は危険だ、とは言いません。そういう体質の人は食べないようにするが、平気な人は食べる、ということが社会的に合意されています。昆虫食も同じで、これは『危険だ』という主張の根拠にはならないと思います。

 

(4)も、ほかの生物も同様で、生物濃縮は起きます。どんな餌を食べさせて飼育するか等により変わります。

 

 ここで指摘されていることは、すべての食品について共通して言えることです。現在のコオロギだけが、こうしたリスクを抱えているととらえるべきではありません」(松永氏)

 

 現在、昆虫食はかなりの研究が進んでいるという。

 

「EFSAの文書が出たのが4年半前のこと。それ以降、事業者は飼育管理の改善などに努め、EU内の行政機関はアレルギー表示などを求めることにしました。

 

 すでに欧州委員会で、いくつかの昆虫食が『新規食品』として認可されています。『コオロギは雑食性だから何が起きるかわからない』という主張も目立ちますが、現在、食用として提供されているコオロギは管理下で飼育されたものですので、雑食している野生のコオロギとは別物です。

 

 個人的には、鳥刺しや鳥たたき、中が生焼けのハンバーグなどのほうが圧倒的に危ない、と思います。個人的な嗜好として昆虫を食べないと宣言するのは勝手ですが、安全性については科学的に判断してほしいし、間違った情報を流してほしくないですね」(松永氏)

 

 2023年1月、リクルートが公表したアンケート調査によれば、「抵抗感のある食品・食品技術ランキング」の1位は「昆虫食」。「できれば避ける」と答えた人は88.7%、「絶対に避ける」は62.4%という結果だった。

 

 根強い抵抗感があるのは仕方がないとしても、勝手な思い込みや理解不足で、間違った情報を拡散させるのはNGだ。

( SmartFLASH )

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