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JR東海「リニア2027年開業」無理だとついに認める…川勝静岡県知事、執念の工事妨害史
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.03.10 16:44 最終更新日:2023.03.10 17:00
3月9日、JR東海の金子慎社長が、会見で「静岡工区の着工のめどがたっていない。ここの工区は難しい。いま始めても遅れを取り戻すことができない」と述べた。目標としてきたリニア新幹線の2027年の開業が不可能だと、初めて明言したことになる。
品川―名古屋間の286キロを約40分で結ぶ巨大プロジェクト。静岡県の工区はわずか8.9キロだが、トンネル工事による地下水の流出で大井川の流量が減少する可能性があるとして、静岡県は着工を認めていない。
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JR東海と静岡県との対立は、2014年に始まっている。JR東海の環境への影響評価で、大井川上流域において流量が最大で毎秒2トン減少するとの予測が示され、2014年3月、静岡県の川勝平太知事が「水の全量戻し」を要望。
これに対し、JR東海は、大井川水資源検討委員会を設置して、導水路トンネルを建設するなどの代案を示した。
その後、JR東海と静岡県が基本合意に向けて最終段階に入ったとの報道も出たが、事態が一転したのは2017年10月。川勝知事が会見で、水の全量戻しについてJR東海から「誠意ある回答」がないとして、着工にストップをかけた。これで、事態は膠着状態に陥った。
国交省は2020年4月から有識者会議を立ち上げ、2021年12月には大井川の流量は維持できると結論づけたものの、静岡県は「解決策が示されていない」などとして、工事の開始を認めていない。その間の2020年6月には、川勝知事と金子社長の初面談がおこなわれたものの、物別れに終わっている。
2022年6月、静岡県はリニア沿線9都府県でつくる「建設促進期成同盟会」への加盟を表明。川勝知事は「リニア建設には促進の立場である」と述べた。
しかし、同年9月には、神奈川県内の車両基地を視察した川勝知事が「神奈川県の現状は危機的。全体のスケジュールに大きな影響を及ぼしている」と、開業の遅れが神奈川県のせいであると “責任転嫁” したことが批判を浴びた。
2023年1月には、岸田文雄首相が年頭あいさつでリニア工事に触れ、「大きな一歩を踏み出す年にしたい」と発言。リニア開業後、東海道新幹線の静岡県内の停車頻度の増加などについても言及した。
これについて川勝知事は、「静岡県民を喜ばせようというレベルの低さ」と批判し、「静岡県が享受できるメリットをご説明ください」との手紙を総理に送っている。
2023年2月には、地下水の状況を調べるため、山梨県側から静岡県に向かってボーリング調査が始まった。わずか20cmほどの穴を掘り進める調査だが、これに対しても「けしからんこと。こちらが納得する説明があるまで、双方向のコミュニケーションがきっちりできるまでは着手するべきではない。即やめるべき」と中止を求めている。
大井川上流の田代ダムでは、大量の水が山梨県側に送られ、東京電力の発電に利用されている。2022年、JR東海は、この水量を抑えることによって、大井川へ水を還元する案を静岡県に提示している。
しかし、これに対しても川勝知事は「別物」と受け入れを拒否。3月9日の会見では、「水利権に関することは、きわめて慎重に関係者で協議すべき。真摯な対応を強く要請する」と、JR東海が大井川流域の市町に対して個別に接触しないようクギを刺した。
流域市町にはリニアを推進する首長もおり、SNSでも《知事の嫌がらせ以外の何物でもない》との批判が数多くある。
「ああ言えばこう言う」で、ひたすらリニア工事を妨害してきたようにしか見えない川勝知事だが、ここへきて潮目の変化も見受けられる。
「4月9日に静岡市長選がおこなわれますが、有力候補とみられる元副知事の難波喬司氏と元県議の山田誠氏は、ともにリニア推進の立場を明らかにしています。
特に難波氏は、副知事の立場でリニアにストップをかけ続けてきましたが、ここへ来て『ほぼすべての人が賛成している。一自治体の長が止めるようなことをしてはいけない』と、主張を一転させています。リニアの静岡工区はすべて静岡市内にあり、工事許可の権限は知事にあるものの、市長にも大きな影響力があります。
また同じ4月9日には、静岡の県議選もおこなわれます。ここで知事の不信任決議案を可決できる51議席を自民会派などが獲得できるか、注目を集めています」(週刊誌記者)
静岡県議会では、2021年、川勝知事の不適切発言をめぐり、不信任決議案の提出を自民会派が検討。48人の賛同を集めたものの、わずかに足らず断念したことがある。
ようやくリニアは “動き出す” のか――。
( SmartFLASH )