社会・政治
コロナ医療支援は計17兆円…5類移行で「病床補助金」半減、「ワクチン支援」縮小でSNSに賛否集まる
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.03.10 17:37 最終更新日:2023.03.10 17:47
厚生労働省は、新型コロナウイルス患者の受け入れ医療機関に支払ってきた補助金「病床確保料」を半減させる方針を固めた。新型コロナの感染症の法的位置づけを「5類」に移行する5月8日から適用し、9月末までの措置とする。その後の金額は感染状況に応じて判断する。
病床確保料をめぐっては、2023年1月、会計検査院が実施状況を公表。1床ごとに1日1万6000〜43万6000円、2020〜21年度で3483の医療機関に計3兆3848億円が交付されたが、病床確保料を受け取りながら、看護師不足などで患者の受け入れを拒否した医療機関が一部にあったと指摘していた。
【関連記事:インフルエンザワクチン不足は本当なのか?厚労省やメーカーはともに「例年並みに供給」と回答】
2月22日には、キャスターの辛坊治郎氏が、自身がパーソナリティーを務めるラジオ『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』(ニッポン放送)で、コロナ病床が5月以降も継続されることについて、こう苦言を呈した。
「5月以降は正常化するのであれば、その段階でコロナ病床をなくすのが筋です。なぜそうならないかというと、国が都道府県を通じて医療機関に支払う病床確保料があるからです。いわゆる補助金です。
会計検査院が国立病院や労災病院など全国の269医療機関を調査したところ、コロナ禍前の2019年度は、1医療機関あたり年間平均3億8000万円の赤字でした。
ところが、コロナ禍になると急激に経営収支が改善し、2020年度は7億円の黒字に転換しました。その後も、この約2年はものすごく儲かっています。これって、おかしくないですか」
3月7日には、日本医師会の松本吉郎会長が加藤厚労相と会談し、病床確保料など医療機関への支援を継続するよう求める要望書を手渡している。松本氏は記者団に、「(新規感染が)これから増えるかもしれないときに支援を打ち切ることは、患者さんにとっても医療機関にとっても難しい」と述べていた。
厚労省が、病床確保料を半減させる方針を固めたことに、SNSでは賛否が渦巻いた。
《半減でも出しすぎ!》
《それでもまだ補助金でるの?》
《高額補助金があるからいつまでも終わらない》
と病床確保料を続けることを批判する声が出る一方、《現場を知らない人達が決めている》と、半減に反対する声も――。
3月10日、毎日新聞が報じたところによると、コロナ禍において、国による医療関連向けの財政支援は約17兆円にのぼるという。病床確保に7.6兆円、ワクチン確保や接種費に4.7兆円、治療薬の確保に1.3兆円、ワクチン開発や生産支援に1.3兆円などだ。
現在は、ワクチンを一定以上の回数接種する診療所に対し、1回あたり2000〜3000円が特例加算されている。3月末に特例支援の期限がくれば3000円の補助は終了するが、2000円の補助は、医師会の求めもあり、継続する見通しという。
病床確保料は半減。ワクチン接種の特例加算は縮小へ。新型コロナが「5類」に移行しても、通常医療に戻るまで、まだ時間がかかりそうだ。
( SmartFLASH )