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レジオネラ菌3700倍の老舗旅館、前社長の自死で再建まで遠い道のり…週1清掃開始も「お客さんいないです」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.03.14 21:10 最終更新日:2023.03.14 21:10
再建への道のりは、まだまだ遠そうだ。
3月12日、福岡県筑紫野市の老舗温泉旅館「二日市温泉 大丸別荘」の山田真前社長が死亡しているのが見つかった。遺体の近くには前社長の車があり、「申し訳ない」「あとは頼む」といった遺書が発見されており、自殺とみられる。
大丸別荘は、2022年、大浴場の湯から基準値の3700倍となるレジオネラ属菌が検出されたうえ、保健所に虚偽の説明をしていたことが2023年2月下旬に発覚。塩素の投入を怠り、大浴場の湯を年に2回しか入れ替えていなかった。
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「山田前社長は『全責任は私にある』としたうえで、『レジオネラ症はたいしたことないだろう』『塩素の臭いが自分の体質に合わずに嫌いだった』と、温泉の衛生管理について甘い認識があったと会見で語りました。福岡県警が、公衆浴場法違反の疑いで山田前社長の捜査をおこなっていた最中での出来事です」(事件担当記者)
大丸別荘は、1865年創業で、昭和天皇が宿泊されたこともある由緒ある旅館だ。昨年12月から営業を再開しているものの、失った信頼を取り戻すのには時間がかかりそうだ。
旅館に取材を申し込んだところ、以下のとおり回答した。
――今は営業されている? 宿泊客はいるのでしょうか?
「はい、通常どおり営業しております。お客さんはそうですね……多いわけではないですね。やはり以前ほどは……いないですね」
――現社長にお話を聞けますか?
「すみません……。連絡はしているのですが忙しいようでして。ただ、再建に向けて意気込んでいます」
――大浴場の清掃はどのぐらいの頻度でされていますか?
「今は法定どおりおこなっています。週に一度はかならず水をきれいに抜いて全部掃除しておりますし、清掃には専門の業者を入れております」
――お客さんも確認して安心できる環境ですか?
「ちゃんと塩素濃度も表示されているようにしております」
大浴場の衛生環境は改善されたが、やはりこのタイミングであえて利用する客は少ないようだ。
「これまでの財務状況次第ですが、非常に苦しい状況でしょうね。とはいえ、ここまで大きな事件が起きた後ですから、接客や衛生面も逆にしっかりしているわけで、“穴場” になっている可能性はありますよ。
あとは、旧来の常連客がどれほど来てくれるか。積極的に旅館が “生まれ変わった” ことをアピールする必要があるでしょうね」(業界関係者)
前社長には、旅館の “生まれ変わり” を見届けてほしかったが……。
( SmartFLASH )