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世良公則も言及した「世界各国でTikTok禁止」アメリカでは売却要請も…日本では今後どうなる?

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.03.20 06:00 最終更新日:2023.03.20 06:00

世良公則も言及した「世界各国でTikTok禁止」アメリカでは売却要請も…日本では今後どうなる?

写真:AP/アフロ

 

 欧米で、TikTokの利用規制の動きが広まっている。

 

 アメリカでは、2022年12月、連邦政府のパソコンやスマートフォンでの使用を禁止する法律が成立。2月27日には、政府職員に対し、政府支給の端末からTikTokを削除するよう命じた。カナダ政府も、同日、政府が支給する端末での使用を禁止すると発表。3月16日には、イギリス政府も、政府支給端末での使用を禁止した。

 

 

 17日には、バイデン米大統領が、TikTokを運営する中国系企業バイトダンス社に対し、TikTokを売却するよう求めていることが報じられた。応じない場合、アメリカ国内での利用が禁止され、1億人以上のユーザーに影響が出るとみられる。TikTok側は「国家安全保障が目的であれば、売却は問題の解決にならない」とコメントしており、23日に議会で開かれる公聴会で、CEOが初めて証言するという。

 

 こうした動きを受け、3月17日、ミュージシャンの世良公則が、自身のTwitterで《西側諸国でのTikTok続々と利用禁止 日本、政府ではなく国民民主玉木代表がいち早く党内で使用禁止と発表 西側では急速に中国への警戒が強まる》と言及した。現時点で1万以上のイイネがついているところを見ると、多くの関心が寄せられているようだ。

 

 それにしても、いったいなぜTikTok禁止の動きが進んでいるのか。ITジャーナリスト・三上洋氏が「懸念されるのは中国の法律です」と指摘する。

 

「中国には『国家情報法』という法律があります。これは、中国政府が求めれば、企業や個人は持っている情報を提出しなければいけないというものです。バイトダンス側は一貫して政府や第三者への情報提供を否定していますが、法律があることは確かです。ですから、TikTokユーザーの位置情報やパスワード、趣味嗜好といった個人的な情報が、中国政府に渡る可能性がある、もしくはすでに渡っている恐れがあると指摘されてきました。

 

 TikTokが槍玉にあげられるのは、こうした法律に加えて、若年層に浸透していることが大きいんです。アメリカではInstagramをしのぐほどの人気ですが、若年層の情報収集に関してアメリカでは社会問題になりがちなんです。ですから、TikTokはトランプ大統領の時代から目の敵にされてきました。

 

 バイデン大統領としても、アメリカ社会が規制に賛成であれば、そうせざるを得ないという状況でしょう。アメリカが進めるとなれば、西側諸国は足並みを揃えますから、カナダやEUの一部も規制の動きが活発になってきたわけです」

 

 とはいえ、具体的にユーザー情報が中国政府に流れているといった証拠は、現時点ではないのだという。

 

「過去に起きた事例としては、ユーザーがTikTokからリンクを飛んでウェブサイトなどを開く際、そのブラウザでの入力情報を記録していたことがわかっています。それから、2022年12月には、バイトダンス内部の人間が、アメリカのジャーナリストの情報を勝手に見ていた事件もありました。

 

 しかし、ブラウザでの情報収集に関しては、Facebookなど他のアプリでも普通にやっていることで、TikTokに限った問題ではありません。内部不正に関しても、正直どこの企業でも起きうることです。過去には、GoogleのAIスピーカーで交わされたプライベートな会話を、下請け従業員が勝手に聞いていたというニュースもありましたし。別にTikTokが安全だと言いたいわけではありませんが、そこまで大きな被害は報告されていないのです」(三上氏)

 

 TikTokに対しては、日本でも規制の動きがある。

 

 2月27日、松野官房長官は、政府職員が利用する公用端末のうち、機密情報を扱う機器でのTikTok利用を禁止していると明かした。ただし、TikTokだけでなく、その他すべてのSNSも同様に禁止だという。また、世良公則のツイートにあるとおり、国民民主党は、所属議員と秘書、党職員が使用する公用端末での使用禁止を決めた。だが、いずれも限定的で、政府全体で規制を検討する流れにはなっていない。

 

「国民民主党はTikTokを名指しで規制していますが、政府としては、SNSすべてという話ですから、対象はTikTokだけではありません。現状では、岸田内閣はTikTokを大幅に規制しようという姿勢を見せていません。ただ、今後、アメリカでさらに具体的に、たとえば国民全員に利用を禁止するような動きが出てきたら、日本でもアメリカに合わせた動きがあるかもしれません。いずれにしても、アメリカの出方次第ということになるでしょう」(同)

( SmartFLASH )

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