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愛媛県議が上皇ご夫妻のお写真を政治活動ビラに掲載「天皇・皇室の政治利用?」県議、県庁、宮内庁に見解を聞いた

社会・政治 投稿日:2023.04.01 06:00FLASH編集部

愛媛県議が上皇ご夫妻のお写真を政治活動ビラに掲載「天皇・皇室の政治利用?」県議、県庁、宮内庁に見解を聞いた

毛利候補の配った「議会報告」には、天皇皇后時代の上皇陛下ご夫妻、中村時広愛媛県知事とともに毛利候補(右端)の写った写真が使用されている

 

 3月31日に告示された愛媛県議選。宇和島市・北宇和郡区(定数4)は、無投票となるはずだった。だが、引退の意向を示していた毛利修三県議が一転、3月22日に出馬を表明。さらに、26歳の新人が立候補し、定数4を6人が争う選挙に突入した。

 

「毛利県議は、年齢的にも引退する予定だったものを突然、撤回したため、地元は揺れています。さらに、毛利氏が配った政治活動用ビラに、天皇皇后時代の上皇陛下ご夫妻の写真が掲載されていました。地域の住民のポストに投函され、不特定多数の住人多数にまかれたもので、『皇室の政治利用にあたるのでは』と指摘する声が上がっています」(地元関係者)

 

 

 本誌が入手した《地域のみなさまへ》と題したビラ《Vol.31 毛利修三議会報告》には、2017年、上皇ご夫妻が愛媛国体に出席されたときの写真が掲載されていた。横には中村時広愛媛県知事と、当時、県議会議長だった毛利氏の姿が写っている。

 

 天皇・皇室の政治利用に当たるのではないか? 毛利候補に直接、話を聞いた。

 

――「地域のみなさまへ」と題した政治活動ビラはどのような経緯で作成し、どのように配布したものでしょうか?

 

「当選当初から議会報告として作成し、それが31回めとなったものです。議員としての活動を報告するのが最低の責務、いちばん大事なことだと思い、作成してきたものです。

 

 私は引退をさせてもらうつもりでしたので、議員生活24年間のいままでの歩みとして、委員長や監査役、党の役職などを報告させていただいたうえで、県議会議長として、愛媛国体で天皇皇后両陛下、それから皇族方の随行をさせたいただいたことがたいへん名誉なことでしたので、作成いたしました。引退することを前提に、議員を辞めることを前提に、24年間の議員生活の報告ということで作成したものです。

 

 以前は若い人たちが手で配っていましたが、ここ最近は難しく、郵便局が『タウンプラス』という形で、割安で各戸に配ってくれるというので、ここ3~4回は利用して配布しています。

 

 ただ、今回、郵便局から、『選挙の年は(告示の)2週間前までに配り終えないといけんので、急いでください』と言われたので、2月の県議会で当初予算ができ上がってから、急いで出したものです」

 

――皇室の政治利用にあたるのではないかと指摘する声が上がっていますが、どのようにお考えでしょうか?

 

「愛媛国体のとき、今回のハガキ大のサイズより、もっと大きな見開きの議会報告をさせていただいたのです。そのとき、県で撮影した正式な写真から、私が写っているものを使っていいかと県庁に確認して、使わせていただいたものです。天皇皇后両陛下のお写真ということで、勝手に使ってはいけないと思ったので、そのとき、県庁にも確認してあります。県の公式のカメラマンが撮影した、県の正式な報告書から使用させていただいたものです。私のほうでは、問題ないと考えて、今回も同じものを使わせていただきました」

 

――引退から一転、出馬を決めたことで、地元が揺れているようですが?

 

「無投票で当選してしまう可能性もあるので、78歳ながら、恥をしのんで出馬を決めました。私にとっても重たい決断だったのです。時間的にも常識的に考えたら受けられるものではない。それでもみんなの期待の声に答えるのも、私の最後の務めという気持ちで受けさせていただいた。

 

 『議会報告は辞めるような感じだったのに、またやるんかいな』ということも言われております。その説明もなかなかみなさんにできなくて、いま一生懸命、立候補させてもらうということを説明しているところです。なかなか選挙になるとわかってもらえないというか、一度、辞める意向だったのに、みっともないと言われますが、それも覚悟のうえで一生懸命、がんばっているところです。

 

 私は(2018年の)西日本豪雨の被害にあった(宇和島市)吉田町の出身なんです。復興は進んでいるけど、まだまだ道半ば。『まだやることがあるじゃないか』という強い言葉をいただいたので、これが最後と出馬を決めたのです」

 

 毛利候補の見解では、すでに2017年の愛媛国体の際に「県庁の許可を得て、県庁から写真をもらっている」ので、今回、議会報告という政治活動用ビラに掲載した、ということのようだ。

 

 愛媛県庁にも問い合わせた。(1)2017年の時点で、天皇皇后両陛下(当時・以下同)の写真を政治活動用ビラに掲載することを許可していたのか? (2)結果的に、選挙前に天皇皇后両陛下の写真が掲載された政治活動用ビラが撒かれたことになるが、県庁としては「天皇・皇室の政治利用」にあたるとは考えないのか。2点を質問すると、広報広聴課から、以下の回答があった。

 

(1)「当時、陛下の御対応をした関係者などから私的な記念に欲しい等の依頼を受け、県が撮影した写真を提供したことは少なからずあり、今回の写真はアングルや姿勢、表情等から県が提供した可能性は高いが、記録が残っておらず、明確に確認することはできなかった」

 

(2)「政治活動に使用する目的での写真の提供依頼はお断りしているが、今回の写真が県提供のものであるとの明確な確認ができないことから、政治運動ビラへの掲載についてコメントは差し控えたい」

 

 さらに、宮内庁にも「政治活動用ビラに天皇皇后両陛下の写真を掲載することは、『天皇・皇室の政治利用』にあたるのではないか」と見解を聞いたが、「現時点でお答えできることはありません」との回答だった。

 

 愛媛県議選は、4月9日に投開票を迎える。

( SmartFLASH )

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