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「減税日本が名古屋市議選で維新に圧勝」で河村たかし氏に集まる再評価 識者は「仲間を増やすのが今後の課題」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.04.13 18:46 最終更新日:2023.04.13 18:53
統一地方選前半戦では、日本維新の会の躍進が目立った。だが、そのなかで「対抗馬」として注目を集めている政党がある。名古屋市の河村たかし市長が代表を務める地域政党「減税日本」だ。
4月9日投開票の名古屋市議選(定数68)で、減税日本は日本維新の会と9選挙区で競合し、7勝1敗(1選挙区は両党の候補が落選)と圧勝。改選前の9議席から5つ伸ばし、14議席を獲得する健闘を見せた。
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河村氏は市内で記者団に「大勝利だ。税金を払う人たちのために政治をしてほしい、という期待がすごく大きく、それを裏切る者は許さないという強い意志が示された。たいへんありがたい」と述べた。
両党はともに「改革勢力」を自任し、2022年の参院選愛知選挙区など、これまで共闘体制を続けてきた。だが、公認をめぐる協議が破談となり、共闘を解消。全面対決となっていた。
維新の躍進が目立つなかでの「減税」の圧勝に、SNSでは河村たかし市長を再評価する声が多く上がった。
《河村たかしは、いろいろとお騒がせやらかしますが、政治に対する姿勢だけは大したものだと思うよ》
《政策論で維新にNOを突きつけるのなら 最も効果的なのが「減税」のはずなのですが、自民党は死んでも減税はやらんよなので、結果批判しかできないというバカさ加減。いっそ河村たかしを輸入したほうがいいと思います》
《減税日本が名古屋だけなのが惜しい。 名古屋市以外の愛知や隣県の岐阜や三重や静岡まで拡大してくれないかな》
なぜ「減税」は、維新に圧勝できたのか? 政治ジャーナリストの角谷浩一氏に話を聞いた。
「要因のひとつは、まったくスタンスがブレない河村氏の強さ。今回は『ナゴヤのことは、ナゴヤで決めよみゃあ!!』をスローガンに、地域政党として戦い、ブレない政党のよさを名古屋の人が評価した面があります。ただ、これはあくまで地域政党だからできることではあります。
一方で、日本維新の会は、支持者のなかでも、『身を切る改革』をする本当の改革政党と評価する人もいれば、『第二自民党』的な保守層の受け皿として評価する人もいます。全国政党を目指すうえで、避けて通れない面でもありますが、屋台骨がどこにあるかわかりにくくなっています。大阪万博・カジノが終われば、何が残るのかわからない。
『機を見るに敏』でうまく立ち回り、うまく演出できているから維新は躍進していますが、河村氏のようにブレないスタンスには弱い。自民党も公明党も維新を警戒していますが、河村氏から学ぶことはあると思います」
河村氏が勝利した要因のもうひとつは、「減税」が選挙で大きなテーマとなりえる、ということだ。
「岸田文雄政権下、増税や物価高に注目が集まり、有権者は税金に敏感になっています。自動車税に関しても、消費税との二重取りの問題など、政党が声を出してくれないと、なかなか動かない。かつては、『税金党』『サラリーマン新党』のように、税制改革を掲げて参院選で議席を獲得した政党もありました。河村氏も『減税』を掲げ、参院選で議席を獲得する可能性はありえます。
河村氏は、今回の名古屋市議選で勝利したことで、まだまだ野党再編の芽がある、と見ていると思います。ただ、河村氏は自分ひとりの個性でこれまでやってきたわけで、仲間を増やすことができるか。これまでも、自ら国政に復帰しようとして、何度も止められてきていますから。
維新だって、創設者の橋下徹氏・松井一郎氏らから世代が代わってきました。河村氏にとって『減税』を託せる人が出てくるか。あるいは『減税』に賛同する政党を増やし、国政にひとつの足がかりをつけることができるかが、試金石となります」(角谷氏)
1月の愛知県知事選では、現職の大村秀章知事の対抗馬を、河村氏は出すことができなかった。名古屋では躍進したものの、今後「減税」を掲げる仲間を増やすことができるか。「一匹オオカミ」を貫いてきた河村氏に突きつけられた課題は大きい。
( SmartFLASH )