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トルコ“強権国家”への反旗「正義の行進」に100万人集めた 

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.07.31 16:00 最終更新日:2017.07.31 16:00

トルコ“強権国家”への反旗「正義の行進」に100万人集めた 

写真:AFLO

 

 大の親日国であるトルコの未来に危険信号が灯っている。国家非常事態宣言が発令され、テロ事件も相次ぐからだ。筆者はこの7月上旬、イスタンブールを訪ねた。すると、実に落ち着いた雰囲気で、町中に活気が溢れていた。

 

 ただ、確かに日本人の観光客にはあまり出会うことはなかった。その代わり、中国人の団体観光客が史跡やレストランを占領していた。

 

 トルコを訪れる観光客で最も多いのはドイツで、その次がロシアだった。日本からの観光客を含め、年間8000万人近くが訪れていたものだ。

 

 しかし、それは2016年の夏までの話。昨年7月に発生したクーデター未遂事件や本年1月以降の相次ぐテロ事件の影響もあり、現在は最盛期の3分の1程度にまで落ち込んでいる。昨年の観光客は2500万人で、過去10年間で最低を記録。

 

 そんななか、トルコ史上最大と目されるデモ行進が行われた。何と、首都アンカラから最大都市イスタンブールまで450キロを25日間かけて踏破したのである。最大野党である「共和人民党(CHP)」のクルチダルオール党首が呼びかけたもので、合言葉は「正義を求める行進」。

 

 当初は、数千人規模であったが、瞬く間に党派を超えて多くの市民が行進に加わり、5万人から10万人へと規模が膨らんだ。一行がイスタンブールに到着したのは、7月9日だった。彼らを迎えるために、100万人もの大群衆が集まった。なぜこれだけ多くの人々が集まったのか。

 

 エルドアン政権は、昨年のクーデター未遂事件に絡み、軍人のみならず、政府の職員や学者、マスコミ関係者などを次々と逮捕、拘束した。その数は5万人に達し、警察官9000人を含む、職場を追放された人々の数は15万人を超えるという。

 

 こうした強権的なエルドアン政権の対応に対し、反旗を翻そうと立ち上がったのが今回のデモ行進である。かつて、インドのマハトマ・ガンジーがイギリスからの独立を求めて、1930年にインド国内で大規模なデモ行進を行ったことは歴史に刻まれているが、今回のトルコにおける大規模なデモもそれにちなんだものと思われる。

 

 筆者がイスタンブールで出会ったトルコ人の多くは、明るく、屈託のない人々であったが、壁の向こう側では多くの人々が自由を奪われているわけだ。彼らの気持ちを代弁するかのように100万人もの群衆が「正義の行進」デモの最終ゴールに結集したのである。

 

 その思いをどのように新たな国創りに生かしていけるのか。強さだけでは反作用も大きくなるだけだろう。様々な文化や宗教を融合させ、共存共栄を誇ってきたトルコ人の寛容さと英知に期待したいものだ。(国際政治経済学者・浜田和幸)

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