4月15日、和歌山県の雑賀崎漁港付近で爆破事件に遭遇した岸田文雄首相は、和歌山市で衆院補選の応援演説を終え、トンボ帰りで羽田空港へ。同じく衆院補選がおこなわれている千葉5区に移動し、JR新浦安駅前広場に16時40分ごろ到着した。
駅前広場には補選とは思えないほどの聴衆。駅前は言うまでもなく、駅から離れた交差点にも数多くの警察官が配置され、厳重な警備体制が敷かれていた。
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この日はあいにくの雨で、みな傘をさしているため、岸田首相の姿はほとんど見えない。駅前広場では、立ち止まるとすぐに注意される。だが、みな岸田首相の姿を写真に収めようと必死だ。駅ビルの上の階にのぼり、ガラス越しに岸田首相の写真が撮れたと喜ぶ高校生やカップルの姿も多く見られた。
「天気は変えることができませんが、政治はみなさんの一票一票、力によって変えることができるということを、ぜひみなさん思いをめぐらせてください。大切なときに結果を出せる政治を実現しようではありませんか」
などと20分弱の演説を終えた岸田首相は、聴衆にグータッチであいさつ回り。車に乗り込むと、次の会場である本八幡駅北口へ向かい、17時50分ごろ到着。ロータリー中央の選挙カーの上でマイクを握った。
新浦安駅では演壇が組まれていたため、後方は安全に思えるが、本八幡駅ロータリーは周囲を駅ビルに取り囲まれているため、新浦安駅より警備が難しそうだ。選挙カーに乗り込んだSPは、岸田首相の後方にも目を光らせている。
岸田首相は、「今日は和歌山県から千葉県に回って応援に駆けつけさせていただきましたが、こうした雨のなかにあっても、多くのみなさんにご理解、ご協力をいただいておりますことを、あらためて心から感謝を申し上げます」とあいさつ。
和歌山市の演説では「先ほど雑賀崎の会場で大きな爆発音がありました。詳細は警察の方で調べていただいていますが、大きなご心配を、ご迷惑をおかけした。おわびを申し上げる」とひと言触れたが、新浦安でも本八幡でも、事件への言及はなし。
演説を終えた岸田首相に向かって、「文雄さ~ん」という男性の声援が飛ぶ。新浦安と違ったのは、岸田首相が車に乗り込み、後部座席から手を振ったことだ。ロータリーをぐるりと一周、ゆっくり走らせたあと、会場をあとにした。
演説をじっくりと聞いていた男性は、最後に岸田首相と目を合わせる形で手を振りあえ、満足そうだった。千葉5区の有権者で、自民党支持者だという。
「たまたま通りかかったんです。もちろん爆破事件があったことは知ってますが、ぜんぜん怖さは感じませんでした。(自民党の)候補については、今日、演説を聞いて初めてくわしく知りました。そのへんが有権者にまだ届いてないのでね。
今回、爆破事件もあって注目が集まったと思うんだけど、候補に注目が集まる形になってよかったと思う。岸田さん? よくやっていると思いますよ。爆破事件のことを、本人がひと言も言わなかったのが素晴らしいと思います」
雑賀崎漁港付近での爆破事件後も、予定されていた応援演説を続行した岸田首相。その判断は、衆院補選の結果にどう影響するだろうか。
( SmartFLASH )