「朝起きて事件を知りました。安否を確認する連絡がたくさん来ていました。現在(14日朝)、外を歩く人はほとんどいません。電車の数も減っている。土曜の朝市も今日は中止でしょう」
そう語るのはパリ在住の日本人女性だ。現地時間13日夜に起きたパリ同時多発テロ。フランスでは1月にも、イスラム教を侮辱する風刺画を掲載したとして「シャルリー・エブド」社が襲撃されるテロ事件が発生している。ジャーナリストの常岡浩介氏はこう語る。
「(テロの実行犯の)IS(「イスラム国」)は7月に『パリが死体であふれかえるだろう』という犯行予告を出していた。もしかしたら、そのころから周到な準備をしてきたのかもしれない」
劇場で銃を乱射した実行犯の一人は犯行時に「オランド(仏大統領)のせいだ。シリアに介入しなければよかったのだ」と語っていたという。
13日(現地時間)、トルコを訪問中の安倍晋三首相は「シリア難民流出を防ぐためには民生の安定が重要。必要な支援に注力していく」と、シリア問題への“介入”を明言した。日本でも、テロ事件が起きる可能性はないのか。元在シリア日本大使館書記官で、現在は民主党参議院議員である大野元裕氏はこう語る。
「日本でテロが起こる可能性はゼロではない。今回の安保法案で海外派兵がしやすくなりました。これから政府の見解を注視していく必要があります」
先月にはロシアの旅客機が墜落し、IS系のテロ組織が犯行声明を出した。フランスもロシアも、シリアでの空爆の参加国。仮に日本が安保法を理由に米国に追随し、シリアでの作戦を後方支援することになれば、国内でのテロのリスクが一気に高まることになる。
「日本では銃器の入手が困難なので、あるとすれば爆弾テロの可能性が高い。ボストンマラソンのテロも、ネットで圧力釜を使用した爆弾の造り方を知り、実行されましたから」(同前)
パリが燃えた。だが、これは対岸の火事ではない。
「世界中にISのシンパがいる。ただ、公安警察はまったく対策ができていない。東京でパリと同様の事態になっても、対応できないだろう」(常岡氏)
(週刊FLASH 2015年12月1日号)