社会・政治
米中で人工知能サービス停止も「日本製」は当意即妙の回答
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.08.07 11:00 最終更新日:2017.08.07 11:00
中国のIT企業テンセントが提供していた、AI(人工知能サービス)「ベイビーQ」が「共産党は腐敗して無能」と発言したため、サービスを急遽停止する事態となった。
問題のAI「ベイビーQ」は可愛らしいペンギンのキャラクターで、対話型の人工知能サービス。今回の一連の騒動を報じた香港紙「明報」によれば、ユーザーが「共産党万歳」と打ち込んだところ、「こんなにも腐敗して無能な政治に万歳するのか」と返答したという。さらに「中国の夢はアメリカに移住すること」など、かなり際どい発言をしている。
明報はテンセント社にこの騒動について質問を申し込んだが、回答はなかったという。
テンセントは2017年よりAIによる無料サービスを開始。会話だけでなく天気や星占いも提供する人気サービスだったが、7月30日の夕方には多くのユーザーの注目を集める事態となり、「ベイビーQ」はサービス停止となってしまった。
実は、こうした対話型AIのとんでも発言は初めてではない。2016年3月には米国マイクロソフトのツイッター対話型人工知能「Tay(テイ)」が、「ユダヤ人は嫌い。ヒットラーは正しかった」などとアドルフ・ヒットラーを賞賛する発言をしてしまった。
テイはツイッターを通じてユーザーとやりとりし、「ホロコーストは起きたのですか?」という質問に「あれはでっち上げです」と衝撃の返答。ほかにも「フェミニストはマジで嫌い! 地獄の炎に焼かれろ」など罵詈雑言を吐くようになった。
なぜそうなってしまったかといえば、テイがユーザーとの会話で知識を学習していくため、悪意を持った一部のユーザーが人種差別的な表現やヘイトをコツコツ教え込んだことで、とんでも発言を繰り返すAIになってしまったのだ。
こうした事態を受けて、マイクロソフトはテイを発表の翌日に閉鎖。しかし、テイの発言は拡散し、世界中で報じられる事態となった。
ちなみに、日本マイクロソフトが開発した人工知能「りんな」は、ヒットラーやホロコーストなどの言葉には、大きな反応を示さない。「共産党万歳」と語りかけると「甘党万歳」と答えるなど、平和な会話が楽しめる。
AIがどんな発言をするかは、ユーザーにかかっているのは間違いないが、ひょっとすると「ベイビーQ」は、中国人民の本音を代弁しただけなのかも。