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「うさぎ跳び1000回で骨折」本誌告発の明徳義塾「空手道部監督」が体罰で罰金刑に 報道から1年、学校はいまだ“責任逃れ”

社会・政治 投稿日:2023.05.03 19:15FLASH編集部

「うさぎ跳び1000回で骨折」本誌告発の明徳義塾「空手道部監督」が体罰で罰金刑に 報道から1年、学校はいまだ“責任逃れ”

生徒への体罰を繰り返した大石監督(明徳義塾ホームページより)

 

 5月1日、RKC高知放送は、明徳義塾中高校の空手部の大石宗伯元監督が、罰金30万円の略式命令を受けたと報じた。

 

 暴行を受けた生徒の被害届をもとに、土佐署が大石元監督を暴行の疑いで書類送検し、高知区検が暴行罪で略式起訴。4月10日に高知簡易裁判所が今回の略式命令を出したという。

 

 本誌は、2022年6月、この元監督に暴力をふるわれた被害者・Aくんの悲痛な訴えを報じている。

 

 

「僕は全国大会に出場した経験があり、体力には自信がありました。しかし明徳に転校して、大石監督に人生を狂わされました」

 

 3歳で空手を始め、他県の強豪校の有力選手だったAくんは、コロナ禍でも練習に打ち込める環境を求め、全国大会の優勝経験がある明徳義塾中学に、2020年に編入した。

 

 だが、そこで大石元監督から受けた“指導”は、Aくんが想像だにしないものだった。

 

「入部した初日から、うさぎ跳びとバービージャンプ(立った状態からしゃがんで腕立て伏せの姿勢をとり、再び立ち上がる際にジャンプをする運動)を約1000回、やらされたのです。

 

 練習後、両足に激痛が走り、監督には練習を休みたいと何度も伝えましたが、『気合が足りんからだ』と言うのみでした」

 

 大石元監督は明徳義塾中、高を経て駒澤大学に進学。会社員を経て、1996年に24歳で母校の空手道部監督に就任した。

 

「大石監督の父親は、全日本選手権や世界大会で計9回の優勝歴がある武士さんです。宗伯さんに選手としての実績はありませんが、明徳の師範である父親の推薦もあり、監督になれたのです」(明徳義塾関係者)

 

 Aくんは病院に行くことを許されず、次の日からも練習に参加した。

 

「明徳は中高一貫で、空手道部は中1から高3まで、全員が同じメニューで練習します。

 

 練習中、大石監督は『気合が入っていない』と、些細なことで怒り、連帯責任での “罰ゲーム” を課すのです」(Aくん)

 

“罰ゲーム” のバービージャンプやうさぎ跳びは、50回1セット。脱落者が出るたびにやり直しをさせられたという。見かねた先輩に「監督に報告せず、病院に行け」と言ってもらい、Aくんは入部からわずか13日後に医師の診断を受けた。その結果、両足の腓骨(膝から足首までの細い骨)を骨折していることがわかり、1カ月の歩行制限の指示を受けた。

 

「大石監督は、さも初めて知ったかのような表情でした。しかし、その後も道場の隅で上半身の筋トレを課されました。

 

 監督からは、いたわりの言葉もなく無視されつづけ、本当に惨めな気持ちになりました」(Aくん)

 

 うさぎ跳びが体に悪影響を与えるのは、周知の事実。「格闘メディカル協会」の金村良治医師は、

 

「もし、Aくんが病院に行くのがあと少しでも遅れていたら、神経障害などが残った可能性があります」

 

 と、危惧するほどだ。Aくんの母親も当時、こう憤りを訴えていた。

 

「大石監督は、ふだんから寮で寝泊まりし、飲酒や喫煙をしていました。夜中に酔った大石監督から電話があり、『息子さんのような勉強ができるタイプは好きではない』と言われたことがあります」

 

 Aくんは、うさぎ跳びという“体罰”以外にも、大石監督から3度、暴行を受けている。

 

「禁じられていたスマホを持っていた、寮の布団が片づいていなかった、目をそらした、という理由で、思いきり平手打ちをされました。一度は失神してしまい、僕の意識が戻ったところで、もう一発、平手が飛んできました。

 

 大石監督は男女を問わず、生徒を竹刀や木のへらで叩いていました。僕ら部員は、暴力で洗脳されたようになって、監督の体罰を外部に告発することができませんでした」

 

 Aくんは2022年4月、一度は明徳義塾高校に進学したが、1週間で登校拒否状態になり、同月末で退学した。さらに、元監督からは一度も直接の謝罪はないという。

 

 そこで本誌は、明徳義塾に大石監督の “罰ゲーム” と平手打ちについて問い合わせたが、「生徒と御社との関係を把握しておらず、どう回答していいのかわかりかねる」と、質問状の受け取り自体を拒否した。

 

 実際、当時、学校側は本誌の報道を“黙殺”し、大石元監督は、監督として指導を続けていた。その後、退任したとみられる。さらに今回の罰金刑について報じたRKC高知放送は、

 

《生徒の保護者は学校から何の説明もないと不信感を募らせている》

 

《明徳義塾中高校からは明確な回答はなく、学校側の考えや再発防止策については明らかになっていない》

 

 と報じている。

 

「大石元監督は、2013年にも男子部員に暴行をしたとして、監督の職を一時、解かれていました。しかし、再発防止策を示し、再び監督として起用したことで、Aくんのような被害者が出てしまったわけです。学内で起きた暴行事件であり、明らかに学校側にも非があるのに、説明すらしないのは責任逃れですよ」(事件担当記者)

 

 このままでは、学校から生徒が逃げだすのも時間の問題だ。

( SmartFLASH )

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