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「割増 少なっ!」シャープ、55歳以上の管理職に早期退職制度…給与6カ月分の上乗せに専門家も疑問視「誰がやめるの?」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.05.28 20:56 最終更新日:2023.05.28 21:07
5月27日、シャープが55歳以上の管理職約700人を対象に、早期退職制度を設けたことが報じられた。2023年3月期には、6期ぶりの赤字となったが、同社は「人員削減が目的ではない」としている。
制度は4月下旬に導入されており、初回は5月上旬から6月半ばまで希望者を募集するという。希望者には、退職金に割増退職金として最大6カ月分の給与が加算される。過去に希望退職を募集したことは何度かあったものの、制度化は今回が初めてという。
SNSでは、今回の「6カ月分の給与加算」という数字に、呆然とする声が続々と寄せられている。
【関連記事:産経新聞社「120人リストラ」割増退職金は最大2000万円で「応募が殺到する」現役社員が語る社内の“ざわつき”】
《退職金割増 少なっ!!》
《「希望者に退職金に最大6カ月分の給与を加算する。」それだけ..ケチ..。》
《シャープのような優良企業で、55歳以上で6か月分の割増退職金で早期退職に応募する人ってどれくらいいるんだろう?最低でも12か月分無いとなのでは…?》
この「6カ月分の給与加算」という数字は、大手企業の退職金相場からすると、どう見えるのか。人事ジャーナリストの溝上憲文さんは、「正直、大企業にしては少ない金額です。大手電機メーカーでは、24カ月程度が一般的です」と語る。
「大企業の退職金の相場は、役職にもよりますが、60歳で定年退職した場合は3000万円程度になります。50歳で早期退職する場合は2000万円程度で、さらに割増退職金が加算されます。
電機メーカーで大卒総合職であれば、だいたい年収は700~800万円。となると、最低でも基本給を月50万円はもらっていることになります。24カ月程度の給与=1200万円が加算されると考えると、退職金は全部で3200~3500万円になるでしょう。
また、早期退職募集をする場合、対象者は40代半ばから50代が多くなります。割増退職金を一番多くもらえるのは50~52歳あたりで、53歳以降はちょっとずつ下がっていきます。今回、シャープは対象者を55歳以上に限定しているので、せめて12カ月は出すのが普通です」
同じ電機メーカーでも、パナソニックやソニーは過去の早期退職者募集で36カ月分の割増退職金を加算したという。割増金が何カ月支給されるかで、退職金の総額は大きく変わってきてしまう。
「正直、今回の条件では、会社に残ったほうがお得です。55歳なら定年まであと5年ですから、会社に残れば60カ月分の給与がもらえます。しかし、いま会社を出てしまえば6カ月分しかもらえません。
仮に50歳であれば、転職したり、退職金を元手に起業することも可能でしょう。しかし、55歳の再就職はなかなかむずかしいうえ、6カ月加算では起業の元手にもなりません。応募する動機が薄いですよね。
地方に飛ばされたり、冷遇されたりといった嫌がらせを受ければ、やめる人もいるでしょうが……。6カ月程度の加算でやめる人はいるのか、疑問が残ります」(溝上さん)
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