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マイナ「家族名義の口座に紐づけ」13万件 河野デジタル相の登録者への責任なすりつけ姿勢に「本当に不快」批判殺到
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.06.08 16:00 最終更新日:2023.06.08 16:00
6月7日、河野太郎デジタル相は臨時記者会見で、国からの給付金を受け取る口座をマイナンバーと紐づける制度で、本人以外の家族名義の口座が約13万件登録されていることを明らかにした。
河野氏は「口座の確認に手間が生じ、給付金の支給が遅れる」として、本人口座に登録し直すよう呼びかけた。
河野氏によると、マイナンバーで使われる漢字氏名と、公金受取口座で使われるカタカナ氏名が照合できないシステムとなっていた。つまり、別人の口座が登録できるだけでなく、それをチェックする機能が整備されていなかった。河野氏は、「デジタル化に背を向けることはできなかった」と述べ、制度不備のままカード普及を急いだことを認めた。
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一方で河野氏は、家族名義の口座をマイナンバーに紐づけていることについて、「あえて家族の口座を登録した」「イレギュラーな操作で、強制的にそういう登録がおこなわれていた」と、利用者が意図的に登録したものであることを強調した。
河野氏は、6月4日に出演した『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ系)でも、こう発言していた。
「マイナポータルから普通の手順で(公金受取口座を)登録すると、そういうことは起きない。かなり特殊な手順で手続きしないと、口座には子どもや夫婦であっても、本人以外を紐づけることはできないが、特殊な手順でやろうと思ったらできてしまう」
「イレギュラーの操作をすると、子どものマイナポータルから親の口座に紐づけができてしまう」
「(本人の)認識がなく、そうはならない。かなり意図的なものだ。本人名義の口座を紐づけるようにというプロセスの中で出るのだが、子どもの分は親の私が管理しようとか、子どもにまだ口座がないから私の口座にしようということで、たぶん、そうした人がいるのだと思う」
だが、家族名義がNGということが周知されていたわけではない。デジタル庁のホームページに設けられたQ&Aのコーナーで、子どもが銀行口座を持っていない場合、代わりに親の口座を登録することはできないと説明している程度。口座を持たない乳幼児などは、口座を開設し登録する必要があることは周知されていなかった。
そもそも、マイナンバーで使われる漢字氏名と、公金受取口座で使われるカタカナ氏名が照合でき、家族名義の口座を登録するとNGが表示されるシステムになっていれば、家族名義の登録が13万件に達することもなかっただろう。
さらに、デジタル庁は2月にこの「家族口座」の存在を把握していたが、問題を明らかにせず、対策もとっていなかったこともわかっている。
2022年6月30日から始まった「マイナポイント」事業の第2弾では、新たにカードを発行した人には5000円、すでにカードを発行している人でも、マイナンバーカードの健康保険証利用の申し込みで7500円、さらに公金受取口座の登録で7500円と、最大2万円相当のポイントが配布された。計上された予算は1兆8000億円。一大事業だ。
国民の税金を投入する大事な事業でありながら、デジタル庁側の落ち度を認めず、「特殊な手順」「意図的なもの」と登録者の責任を強調する河野氏の姿勢に、SNSで批判が殺到している。
《システムの設計時に予想していないというだけで決して特殊な手順ではなく、不慣れなユーザーならやってしまうこと、それを想定しなかったということが問題》
《最初に明確な駄目ルールが無かったから、この様な状況に成っただけ。子のお金を親が管理する為に親の口座へ…ごく普通の事》
《こんなずさんなシステムを無理矢理通すのは誰のためなの?これ会社だったら河野は責任取って辞任するくらいの事故じゃん…他人事風にしてる態度が本当に不快》
《謝罪やトラブルの報告は法律が成立する前に行うべきもの。今になっていうのは詐欺に等しく、確信犯とも言える。ますます混乱し不信が高まる。やはり一旦立ち止まり、仕切り直しが必要だろう》
6月2日に成立したマイナンバー改正関連法により、2025年中にカナ氏名と漢字氏名が自動照合できるようになるというが、マイナンバー制度への不信感は高まるばかり。このまま誰も責任を取らず、突き進んでしまうのだろうか。
( SmartFLASH )