回転寿司チェーン「スシロー」で、備えつけの醤油の差し口や湯呑みを舐めまわすなどの動画をアップしたとして、運営会社の「あきんどスシロー」が、岐阜県の少年に約6700万円の損害賠償を求め、3月22日付で大阪地裁に提訴していたことがわかった。
「2023年1月29日にSNSで拡散されたこの動画によって、運営会社は『各店舗の衛生管理に疑念を生じさせ、多くの客に著しい不快感、嫌悪感を与えた。影響は深刻で、この問題を放置できない』と主張。さらに今後、『9300万円程度の損害が生じる見込み』だとし、請求額を増額する姿勢を見せています」(経済ジャーナリスト)
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このあと、同様の“寿司テロ”行為の動画をアップする模倣犯が相次いだこともあり、SNSでは、運営会社の毅然とした姿勢を評価する声が多数上がっている。
《飲食店サイドに有効な防衛策がない現状ではこれくらいやらないと抑止力にならないでしょう》
《今後現れる馬鹿への抑止に有効な裁判。しっかり賠償を勝ち取ってほしい。》
《醤油差し舐められて損害賠償請求して何が悪い。》
だが、今回の訴訟を受けて、騒動直後に運営会社の親会社「フード&ライフカンパニーズ(以下、F社)」の水留(みずとめ)浩一社長が、わずか数日前に語っていた動画にも注目が集まっている。
その動画とは、YouTubeの堀江貴文氏の公式チャンネルで、6月2日に更新された「『人生を狂わせてしまった』スシローの強みとそれを伸ばす戦略とは【水留浩一×堀江貴文】」(「NewsPicks」には5月15日先行公開)。
騒動について初めて言及するという水留社長は、動画のなかで以下のように語っている。
「彼は彼で被害者だと思っていてね。うちのチームから聞いている話では、ふつうの男の子で、ちょっとお正月に悪ふざけしてしまったというのが、これくらい(の問題)になってしまって。ただまあ、報道でしか聞いていないですけど、高校も自主退学してしまったとかね。人生を相当、狂わせてしまっているという(のが)事実としてあるわけですよね。それ自体も、世の中の仕組みや環境がそれでいいのか、というのが一方であるのかと思っています」
と少年を擁護したうえで、社会的制裁を受けていることにも同情した水留社長。株価が大幅に下落したことについても、このように不安を払拭してみせた。
「まあ、そうなんだけど、あれは2日、3日ですぐに(株価が)戻ったから。そういう情報で、過度に敏感に反応して、売りに入る人がいるかも知れないけど、そういうのは時間のなかで解決していくというのかな。ある程度時間が経てば、正しく評価されていく世界になるので。うちの株主構成は、8割くらいが機関投資家なんですね。噂で反応するんじゃなく、数字に反応して、株価が形成されるので、一時的なものはあったけど、それが何かということは、あまり思っていないですね」
水留社長の寛大な姿勢を受け、同動画には絶賛のコメントが多数寄せられている。
《加害者の事まで心配して、器が大きすぎる。》
《本人が悪いししたことは許されることではないけど反省して更生して生きていってほしい 社長いい人、懐が深い人だ》
《少年を裁きすぎる社会ってどうなの?確かに裁かれるべきだけど裁きすぎるのは絶対ダメ バランスが大事なんだよ!》
動画は、新型コロナウイルスが5類に移行したあとに収録されたとみられ、水留社長が“器の大きさ”を見せていた裏で、スシローはすでに少年への損害賠償を求めていた可能性が高い。2022年6月の「おとり広告」の余波もあり、スシローから遠のいた客足はなかなか戻らない。
「F社の2023年3月中間決算は、円安のほか、原材料費や物流費の高騰などの影響で、営業利益が前年同期比45.3%減となりました。2月は少年の迷惑行為を受けて、店を応援するために客足が回復しましたが、補いきれませんでした」(前出・経済ジャーナリスト)
前編に当たる動画では、「これ以上(少年を)追い込むことのないようにしたい」とも水留社長は語り、同情的な表情を見せていたが……。
( SmartFLASH )