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毎日6000円支給「委員長手当」廃止で与野党合意も毎月100万円「旧文通費」は温存「身を削ったふり」の国会に不信感高まる
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.06.13 15:29 最終更新日:2023.06.13 15:34
6月12日、自民党の高木毅、立憲民主党の安住淳両国対委員長は国会内で会談し、国会開会中に土日も含めて1日6000円が支払われる衆院の常任委員会と特別委員会の委員長手当を廃止する方針で一致した。今国会会期末までに歳費法を改正することで実現する見通し。参院側も廃止の方向で、年間3000万円が削減されるという。
委員長手当をめぐっては、これまで日本維新の会が廃止を訴えていた。同日、維新からは「自画自賛」する声が多く上がった。
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維新の馬場伸幸代表は、自身のTwitterにこう書きこんだ。
《維新が存在しなければ絶対に実現していません。改革する事が当たり前の文化に変えていく。小さなことからコツコツと》
吉村洋文大阪府知事もこう書きこんだ。
《小さいことかもしれないが、今まではできなかったこと。なんでも反対の立憲共産ではなく、維新の会が野党の中心になれば、国会の非生産的な部分に大きくメスを入れることになるだろう》
元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏も《維新の会の成果。これが本来の野党の姿》と書き込んだ。
一方、立憲の小西洋之参院議員は13日、自身のTwitterにこう書きこんだ。
《本来ならば、委員長は各省の大臣にも匹敵するような国家の重要ポストであり、特別に高い見識や能力が求められる議会人憧れのポストなのだという議会政治の文化を育てなければならないのですが、委員長手当を税金の無駄遣いとだけ批判してやまない維新のポピュリズムに押されて議会政治が変容していくのは危ない兆候だと思います》
委員長手当の廃止をめぐっては、2012年に旧民主党などが同様の法案を提出し、衆院を通過したが、参院民主党が審議を拒否し、廃案となった経緯がある。
維新の音喜多駿政調会長は12日にブログを更新。委員長手当廃止に半年かかった経緯をこう述べている。
《この委員長手当廃止の改革案、維新と自民の間ではとっくの昔・今年の2月に合意をしていたのです。
にもかかわらず、この国会終盤までずるずると結論が出なかった理由は…結局、他の野党がゴタゴタしていて結論を先延ばしにしたからです。
国会終盤まで引っ張った理由も、とりあえず国会改革は「ここまで」にしておきたいという戦術でしょう。
(中略)2月の段階では旧文通費の議論を前に進めることにも合意していましたが、結局、自民党もこれ幸いとここでおしまいにしようとする意図がスケスケに見えています》
音喜多氏が指摘するように、2023年2月15日、自民と維新は、委員長手当の廃止に向けて調整するとともに、国会議員に月100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費=旧文通費)の使途公表などについて、本格的な議論を再開する方針を決めていた。
旧文通費は、領収書が不要で使途を明らかにする必要がなく、余った場合に返還する仕組みがないことから、議員の「第2の財布」とも呼ばれている。
2021年11月、維新の小野泰輔衆院議員が、在職わずか1日で旧文通費100万円が支給されたことを問題視。2022年4月、まずは日割り支給を可能にする関連法改正が成立。名称も使用実態に合わせて「調査研究広報滞在費」に変わった。だが、維新が求める「使途公開」と「未使用分の国庫返納」については、先送りされたままだ。
そのため、維新からは、委員長手当の廃止を認めながら、さらなる「改革」を求める声が上がっている。
前大阪市長の松井一郎氏は6月12日、自身のTwitterにこう書きこんだ。
《先ずは一歩だが、国会議員の経費毎月100万円の領収書添付公開の与野党合意を今国会中にやるべきやね》
維新の浦野靖人衆院議員は、《本丸は旧文通費やからね。これでお茶を濁さんように》、東徹参院議員は、《国会という所は生産性が低すぎる。維新は一体何年前からこのことを真っ先に主張してきたことか》と、同様に書きこんだ。
旧文通費問題の火つけ役となった小野泰輔衆院議員も、こう書きこんだ。
《維新がずっと言い続けてきたことがようやく実現しました。旧文通費の領収書非公開問題など、まだまだ国会議員のおかしな特権は見直さなければなりません》
一般のSNSでも、委員長手当の「廃止」に加えて、旧文通費の「廃止」を求める声も上がっている。
《文通費の廃止はまだですか~?》
《文通費毎月100万に比べりゃ微々たる額。こんなもんで歳出削減だなんてドヤ顔するなよ》
《文通費はどうした? これで「身を削った」フリか?》
《結構なことだ。文通費も是非やってくれ》
自民党の高木毅国対委員長は12日、記者団に「国民にいろいろ負担をかけることもあり、できるだけ改革をすべきだという考えだ」と、委員長手当廃止の方針に至った理由を説明した。
旧文通費の支給総額は、衆院55億8000万円、参院29億4000万円(2021年度)。旧文通費に関しても、「使途公開」「未使用分の国庫返納」、さらには「廃止」にまで「改革」の進む日が望まれる。
( SmartFLASH )