社会・政治
NHK大越健介キャスター番組更迭の背後に「反籾井派」粛清の動き
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2015.01.28 06:00 最終更新日:2016.03.04 23:57
「原発再稼働に否定的な大越キャスターの報道姿勢に、安倍官邸は不満を抱えていた。その意向を受け、籾井勝人会長が決断したというのが更迭の理由のひとつだ」(NHK関係者)
NHK『ニュースウオッチ9』の大越健介キャスター(53)が3月限りで降板すると報じられた。柏崎刈羽原発のある新潟県出身の大越氏は東大卒で’85年にNHK入局。政治部やワシントン支局を経て、’10年から『ニュースウオッチ9』のキャスターに就任した。
「政治に対しては多少モノを言いたいと思うし、原発事故に関しても、やっぱり言うべきことはきちんと言いたい。NHKだから無味乾燥でいいということは、絶対にないと思いますから」(’11年6月、「週刊現代」インタビューより)
NHKらしからぬ“もの言う”キャスターとして人気を得ていたが、更迭にはもうひとつの理由が――。話は昨夏に遡る。
「昨年1月の就任直後、籾井会長は失言の連発で辞任寸前まで追い込まれた。なんとか乗り切った彼は、昨年6月の人事異動で与党に批判的だった報道局の一部局員を他部署へ飛ばすなど、完全なる『安倍シフト』を敷いた」(別のNHK関係者)
そのため政権に批判的な報道ができないと現場の士気は急降下。
「そこで、危機感を募らせたNHKのOBが中心となって籾井氏辞任要求の署名を集めた。その数、7万通超。その際、OBは知名度が高く反骨精神のある大越さんを“反籾井派”のリーダーとして引き込もうとした」(前同)
だが、大越キャスターはこの誘いに慎重だったという。
「ただ、その動きが籾井会長側近の耳に入った。もともと権力に“もの言う”大越さんは安倍首相には煙たい存在。『早めに降板させたほうがいい』という話が出始めた。12月の衆院選後、“反籾井派”は大越さんに再び接触を試みた。籾井派はすぐに察知し、“いつかはあちら側に立つ。早いうちに手を打とう”と今回の人事に繋がったと聞いている」(前同)
立教大学メディア社会学科の砂川浩慶准教授は、今回の降板を次のように見る。
「今週からの通常国会では年度内は予算関連、4月以降に集団的自衛権関連法案を扱います。予算関連にはNHK予算も入る。そのためNHKは、この時期、与党に逆らえないわけです。今の時期に大越さんを交代することで、次のキャスターにも『わかっているよね』と圧力を与えられます。NHKはいよいよ“安倍様のNHK”になっていると思わざるをえません」
(週刊FLASH 2015年2月10日号)