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マイナ保険証「無効で10割請求」1291件 娘の顔でも認証できる「欠陥カード」に批判殺到も進む「紙保険証廃止」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.06.22 16:10 最終更新日:2023.06.22 16:19
6月21日、マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」について、全国保険医団体連合会(保団連)は、全国の医療機関に実施したアンケート調査の最終結果を公表した。
マイナ保険証が無効などと表示され「無保険扱い」となった患者に対し、「10割負担を請求した」ケースは4月以降、少なくとも776件、保団連の推計では1291件もあった。
調査は、保団連会員の6万6462の医療機関を対象に5月23日に開始し、41都道府県の1万26施設から回答を得た。
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オンライン資格確認を運用する8437施設のうち、5493施設(65.1%)でトラブルが発生。他人の情報が紐づけされていた事例が114件あったほか、「後期高齢者の方で、1割が正当なのに2割と表示された」など、患者情報が更新されず、自己負担額の割合が異なって表示されたトラブルもあった。
現行の健康保険証による資格確認は、慣例により月1回だが、マイナ保険証は受診の都度、必要とされる。顔認証つきカードリーダーで、マイナ保険証の所有者と別人の顔が認証されるトラブルも3件。「娘のマイナ保険証を入れたら顔認証できてしまった」というケースもあった。
「10割負担を請求した」ケースは、調査を公表し始めた5月下旬には122件だった。前回集計(6月8日時点)では533件。そこからさらに上積みされた。
また、トラブルへの対処として、患者が持参した「健康保険証で資格確認した」が4117件(74.9%)。現行の健康保険証がなければ、これらのケースでも「10割負担」が発生した可能性もある。
厚労省は6月2日、原則3割負担とするよう運用マニュアルを改定。加藤勝信厚労相は20日の記者会見で、無保険扱いとなった患者が10割ではなく、本来の3割負担などで済むように、月内にも具体的な対応策を周知する考えを明らかにした。
だが、保団連の竹田智雄副会長は「7割の未収金が出た場合はどうするのか。現場では混乱が続いている」と批判している。
「10割負担を請求した」ケースが、保団連の推計で1291件になったことに、SNSでは批判的な声が多く上がっている。
《どんどん増えとるがな!》
《トラブルの大渋滞じゃん…保険証廃止したら現場回らないだろ》
《大混乱のマイナ保険証停止して、紙保険証を存続させるべきです》
《娘のマイナンバーカードで顔認証出来てしまった。これは笑える。同じような化粧したら、誰でも使えるってことね。まさしく、マイナンバーカードは欠陥カードだね…》
岸田文雄首相は6月21日、記者会見で、2024年秋に廃止予定の健康保険証について「全面廃止は国民の不安払拭のための措置が完了することが大前提だ。最大2025年までの猶予期間を活用し、不安を払拭していく」と述べた。
だが、6月17、18両日、共同通信が実施した全国世論調査では、「マイナ保険証」に一本化する政府方針に関し、延期や撤回を求める声が計72.1%に上った。7割以上の国民が抱く不安を払拭するのは、容易ではなさそうだ。
( SmartFLASH )