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【衆院選】自民党が大阪10選挙区で候補者見直し「類を見ないおかしな決定」落選中の前職議員が隠さぬ不満
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.07.05 21:00 最終更新日:2023.07.05 21:00
「永田町では『自民党はどうしたのか』と言われています。自民党は前回、2021年の衆院選では大阪の全15区で敗北しています。そのため、茂木敏充幹事長が6月30日、党直轄の刷新本部を設けて、大阪府連を立て直すことを表明しました。
そして、10の選挙区で候補者を公募。選び直すことを決定したのですが、『見直し決定に至るまでの過程が不透明で、強引だ』という声が府連以外からも多く聞こえ、7月4日には見直し対象になっている支部長、6名が自民党本部を訪れて抗議しました」(政治担当記者)
見直し対象となった大阪4区の支部長、中山泰秀元外務副大臣に話を聞いた。
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「面会したのは、茂木幹事長と森山裕選対委員長でした。我々がなぜ再公募の対象区にならなければいけないのかをただしましたが、『調査の結果が悪かったから』といわれるだけで、客観的なデータや根拠を示されることはありませんでした。完全にブラックボックスです。一方的に過ぎます。国会議員は法律を作る人たちです。身勝手なルールや“基準”を強権的に作るのは、自民党らしくないです。刷新本部の決定を無効とするように求めました。
また、一部のマスコミが『更迭』という表現を使っていましたが、茂木幹事長に聞くと『更迭ではありません。解任は発生していません。次の支部長が決まるまでは支部長で、再公募で選ばれれば支部長のままです』とおっしゃっていました。しかし、報道でマイナスイメージになったことは間違いありません。
いずれにしても、今回の手続きは党の歴史上、類をみない、おかしな決定だと思っています。党本部が熟慮したうえで決定した支部長について、なぜ何の前ぶれもなく再考をおこなおうとしているのか、不明確です。任命した党本部の責任はどうするのでしょうか」
中山氏によると、自民党の内規では「小選挙区で2回連続で負ける」「毎年、党員を1000人獲得していない」などがあると、選挙区支部長になれなかったり、政府や党の役職に就けなかったりするという。
「私は直近、2021年の選挙は維新の候補に敗れましたが、2014年、2017年は小選挙区で勝っています。しかも2014年の相手は、吉村洋文・現大阪府知事でした。
いま、大阪では維新の勢いがありますが、私は複数の政治勢力が競い合ったほうがいいと、明確に認識しています。また党本部と同じく、自民党大阪府支部連合会の改革、および再生にも大賛成です。そのうえで、地元の支持者のことを考えれば、国会議員に再挑戦したほうがいいと思っています」
中山氏はそう語り、再公募に応じる意向を示した。そこには「安倍政権の外交・安全保障政策のマインドを引き継ぐ者が、この大阪4区にいたほうがいいと思うから」という理由もあった。
小選挙区で敗れても「惜敗率」が高ければ、比例復活当選できる。2021年総選挙の惜敗率を見ると、中山氏は67.70%だった。一方、見直しがなかった1区の支部長・大西宏幸氏は60.97%、2区の支部長・左藤章氏は66.94%。いずれも中山氏より低かった。
「大西氏も左藤氏も岸田派で、刷新本部の事務総長に抜擢された、いわゆる『銀座三兄弟』(※)のひとりとして有名になった大塚たかし氏は茂木派です。中山氏は安倍派ですから、永田町では『派閥の力学が働いたのではないか』とみられています」(前出・政治担当記者)
そうだとしたら、「実力者」などと呼ばれる一部の幹部による党の私物化と言わざるを得ない。
(※)
2021年1月8日、東京都が新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の発令中、銀座でレストランやクラブをハシゴしていた自民党の衆院議員(当時)3人。3人は自民党から離党勧告を受け離党したが、2023年5月、大塚氏は復党が了承された。
( SmartFLASH )