朝10時半。自動ドアの前に大塚久美子社長(47)が立つと、客はいっせいにどよめいた。5月4〜6日、大塚家具では、「大感謝フェア」のハイライトとして、久美子社長の“お出迎え”がおこなわれた。初日の有明本社では、およそ40人が行列。客は久美子社長との写真撮影を求めて列をなした。
「本当におきれいですね」
30代とおぼしき女性が声をかけた。久美子社長は「ありがとうございます!あなたさまのほうがおきれいですよ」。経営権争いの疲れを少し残しているようだったが、スタイリングは隙がなく、表情も晴れやか。客あしらいも余裕がある。
「大感謝フェア」では高級家具が最大半額になるとあって、フェア初日である4月18日、新宿店では1万257人、前年比で596%もの来客があったという。これを逃す手はない。賑わいを目のあたりにして、本紙記者も奮発して椅子を買おうと決意した。
せっかくなら「社長の椅子」を死守したばかりの“久美子チョイス”がいい。翌5日の横浜店で、挨拶を終えたばかりの社長に直訴した。
「久美子社長!椅子を選んでくださ〜い♥」。
「申し訳ありません、担当の者が選びますので……」とやんわり拒絶。何度も頭を下げられ、素早く現れた従業員にバトンタッチされてしまった。
1−3月期決算は7億円の赤字だった大塚家具。“お出迎え”のとき、社長と遠巻きに立つ従業員との距離が気になった。しかし、今年度86人の新入社員が入社、内定辞退者はゼロだった。
「全社員で新たな大塚家具を成長させていく」
久美子社長の真価が問われる。
(週刊FLASH 2015年5月26日号)