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北朝鮮を支援する英国「メイ首相」来日の裏で脱出者が急増中
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.09.05 06:00 最終更新日:2017.09.05 11:15
北朝鮮による日本列島越えのミサイル発射や6回目の地下核実験で世界中が大慌てしている。そんな折に初来日したのが英国のメイ首相。
しかし、北朝鮮と経済的に深い関係を結んでいながら、その北朝鮮政策は危機感とは無縁のようだ。英国と北朝鮮の関係は2001年に平壌に大使館を開設して以来、緊密さを増す一方である。
2006年には英国の金融監督庁が北朝鮮向けの開発投資ファンドに認可を与えた。その結果、アングロ・シノ・キャピタル社は5000万ドルを投資し、北朝鮮で鉱山の開発に着手。
なぜなら、北朝鮮に眠る地下資源の価値は6兆ドルと見積もられているからだ。そのため、投資家の関心は高く、瞬く間に1億ドルを超える資金を調達した。
また、英国の石油開発会社アミネックスは北朝鮮政府と独占探査契約を結び、1000万ドルを投資し、朝鮮半島西岸域で油田開発計画を進めている。
国連による経済制裁決議など、どこ吹く風といった調子である。メイ首相は安倍首相と「北朝鮮への圧力を強化することで一致した」とのことだが、自国の経済にプラスとなるなら、日本や国際社会の懸念はお構いなしといった様子。
さすがにまずいと思ったのか、急きょ「在平壌の大使を召還する」と発表したが、国際社会のメイ首相に対する風当たりは強まる一方である。
結果、近くフランスで開かれる難民問題の国際会議からも締め出されてしまった。もちろん最大の理由は「EU離脱」をめぐるゴタゴタである。離脱交渉はまとまらず、本年6月の総選挙では大敗を期してしまったメイ首相。
にもかかわらず、東京でのインタビューで「首相として次の選挙でも戦う」と強気な発言で、本国では総スカンを食らうことになった。
当初はサッチャー元首相以来の「新・鉄の女」と期待が寄せられたが、今や「死神首相」と揶揄される有様。しかも、「弱り目に祟り目」のごとく、ロンドンでの低所得者用高層マンションで大火災が発生。はたまた、マンチェスターでのコンサート会場を襲ったテロ以降、テロの収まる兆しが見えない。
こうした状況に嫌気がさした国民の間では、「英国脱出」がブームになりつつある。昨年6月以降、英国から海外に移住した「脱出組」は10万人を突破。彼らの言い分は「英国は人種差別の国になった。寛容性が失われ、皆が自己中になりつつある。これでは英国に未来はない」といったもの。
政府の統計によると、本年3月までに英国にオサラバしたEU国籍の人数は12万人を超えた。また、その間、英国から海外に移住した英国人は13万4000人。前年同時期と比べて、8000人も増えている。既に25万人近くが英国籍を捨てたことになる。
はたして、英国内部崩壊の流れをメイ首相は食い止めることができるのか。日本企業も野村証券がロンドンから撤退を決めるなど、脱英国の流れが出始めている。
メイ首相は今回の日本滞在中、日本企業に「英国に留まってほしい」と訴えたが、その効果はサッパリ。自国民に見限られるようでは、当然かも知れない。これでは「新・鉄の女」の先行きは厳しいと言わざるを得ない。(国際政治経済学者・浜田和幸)