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サラリーマンの副業にも影響が!10月1日から実施される「インボイス制度」会社員の留意点を専門家に聞いた
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.09.07 21:15 最終更新日:2023.09.07 21:19
2023年10月1日から「インボイス制度」が実施される。
消費税は、事業者が消費者や取引先から預かった消費税額のうち、仕入など経費で支払った消費税額を引いて納税するが、年間売上が1000万円以下の事業者は、消費税の申告が免除されてきた。今回の措置は、それを是正し、きちんと消費税を徴収するのが目的だ。
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これまで利益となっていた免税ぶんを失うことから、声優や俳優、個人事業主などから反対の声が寄せられている。
それに対して、ホリエモンこと堀江貴文氏は、9月5日、自身の『X』に東京新聞の「インボイス反対に署名36万筆超 個人事業主ら、財務省に提出」というニュースを引用しつつ、《これまで消費税を「着服」してたくせによー言うわ。ちゃんと払えや》とコメント。
これまでの免税はもちろん合法だったため、「着服」という言葉に批判が集まると、堀江氏は《わざとひっかかる言い方してんだよ笑》とて、意に介していない様子を見せた。
実はこのインボイス制度、フリーや個人事業主のみに影響が出ると思われがちだが、副業をしているサラリーマンも無縁ではいられない。
「インボイス制度が始まると、発注元は取引先がインボイス登録をせず免税事業者のままだと、消費税が控除できなくなります。そのため、以前と同じ条件で取引を継続すると、発注元に新たな消費税負担が生じてしまいます。
結果、法律に抵触しますが、免税事業者に消費税額ぶんの値下げを要求したり、取引を打ち切ったりする可能性があるのです」(経済担当記者)
昨今、従業員の副業を認める会社も増えてきたが、もし副業をやった場合、インボイス制度の影響が出てくる――では、サラリーマン副業で気をつける点はなにか、ファイナンシャル・プランナーの長尾義弘氏に聞いた。
「副業で収入があれば所得税などを支払いますが、副業の種類によっては消費税を受け取ったり支払ったりしていますから、発注元からインボイス登録を求められる可能性があります。
たとえばライター、デザイナー、イラストレーター、ハンドメイド制作など『作品』で取引している方は、受け取ったギャラに消費税が合算されているはずです。休日だけキッチンカーを稼働させているオーナーなども該当しますね。
一方、カフェやレストランの店員など、従業員の立場で働いている方、習字・ピアノなど習い事の先生をされている方は、消費税を受け取っていませんので登録の必要はありません」
インボイスに登録すると、発注書や領収書の保存分類などが煩雑になる。「登録するべきかどうか」と悩んでいる副業サラリーマンも多いはずだ。
「インボイスに『登録する』『登録しない』は任意ですが、どちらにもメリット・デメリットがあります。繰り返しになりますが、インボイス登録をしないと発注元は消費税ぶんの負担を嫌い、登録した人に優先的に仕事を発注したり、消費税ぶんの減額を求められたりしかねません。そのため、仕事が減る可能性は想定しておくべきです」(長尾氏)
ただ、事務手続きが煩雑になることなどから、一定期間の特例が設けられている。
「免税事業者が課税事業者になった場合、売上にかかる消費税額から8割を差し引いて簡易的に納税できる『2割特例』があります。また、1万円以下のインボイスの発行と保存が不要になるなどの措置もあります」(長尾氏)
制度が複雑なので、「登録するかどうかはまだ様子を見ます」という人も多いという。だが、予定どおり導入されれば、混乱は必至となりそうだ。
( SmartFLASH )