社会・政治
「次は首都圏で現職市長を倒す」「全国の街を変える」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第16回】
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.09.15 06:00 最終更新日:2023.09.15 06:00
日本の政治は、大きな歴史の転換点にあるんやないか。
9月3日、岩手県知事選、東京・立川市長選の投開票がおこなわれ、岩手県知事には達増拓也氏(59)が5選を果たし、立川市長には、無所属新人の酒井大史氏(55)が初当選を決めました。
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両氏とも、私は応援しました。4月の明石市長選、7月の三田市長選に続いてのこと。明石市議の5人、兵庫県議の1人を合わせれば、10人当選。しかも、その6人とも知名度はほぼゼロ。三田市長も、無名の新人やった。
選挙は知名度がなくても勝てる。有権者である市民は、自分たちの希望をかなえてくれる候補を選ぶから。キーワードは「私たち市民vs.古い組織」「地方vs.国」。この構図さえ作れば、国政はともかく、地方選挙は勝てる。
達増さんの陣営は、極力、政党色を薄めて臨んだ。「市民派市長」の象徴である私に応援の依頼があったのもその流れで、組織や国と対決する形になった。
選挙戦では、四国くらいの大きさの岩手県の北の端から南の端まで2泊3日で走り回りました。私の役割は、これまで選挙にあまり関心のなかった無党派層や、一部の保守系の票を掘り起こすことやったと思います。
勝利のポイントは、やっぱり、達増さんが市民や県民の側に立ったこと。対抗馬の千葉絢子氏は、業界団体丸抱えの自民党と創価学会に支えられていた。千葉氏は元アナウンサーで、一見、浮動票の無党派票を取れそうにも見えたが、達増側に流れた。自民党支持層も、半分近くは達増さんに入れたんです。
立川市長選で当選した酒井氏も、以前は立憲民主党所属でしたが、完全に党を離れ、今回は無所属で市民を頼りに選挙に勝った。最後は1千500票差の勝利でしたが、競り勝ったのは、市民派というスタンスを明確にしたからやと思います。政党や組織に依存せず、市民を信じて戦う。市民派の私の支援を得る。その戦略が奏功したんでしょう。
そして岩手県知事選で、相手陣営が強調したのは「国とのパイプ」でした。とくに岩手県の場合、地元選出の鈴木俊一財務相が影響力を持っているから、「国からカネを引っ張ってきます」というスタンスやった。いつの時代の話やねん! もう国に「引っ張る」ほどのカネはない。要は、国と地方は主従関係にあり、カネは国から地方に来るものという古い発想なんやね。
今は、地方が独自の政策をできる時代やし、実際、明石が子ども政策で「全国初」をやりまくって評価された。「明石」という言葉が、市民派選挙のシンボルにもなった。
選挙での訴えを見ても、岩手県知事選では、達増陣営が「医療費の18歳までの無償化」「2人め以降の保育料の無償化」の実績を強調した。立川市長選では、酒井氏の目玉公約は「給食費の無償化」でした。岩手も立川も明石と同様のことを訴えて、それも含めて支持されたんです。
岩手を回って驚いたことは、私の演説会の後、地元のお母さんたちが出待ちしてるんです。そして「明石市長のおかげで、岩手県も2人めからの保育料が無料になった」とお礼を言われもした。
選挙に勝つのは簡単じゃないと多くの人は思うでしょうが、じつはもっとも勝ちやすいのが市長や県知事などの首長選挙です。とくに一騎打ちなら〇か×なので、これほど簡単な戦いはない。「対決の構図」を作れば勝てる。
それは、いまだにマスコミが言っているような「保守vs.革新」なんかではない。有権者は、自分たちの生活第一。生活をよくしてくれるとわかれば支持する。
岩手県知事選では、例のエッフェル塔前の記念撮影が物議を醸したフランス研修に参加した広瀬めぐみ参院議員が、相手方候補の応援の中心の1人やったことも影響した。物価高に円安で、庶民は海外旅行なんかできないのに、との思いをもった県民も多く、相手方は、県民からすると、「自分たちからは遠い候補」やったんです。
当初の下馬評では「達増知事、危うし」という見方もあったが、庶民感覚のない相手方候補と、市民、県民のためというスタンスに徹した達増知事という対立の構図があったから、10万票もの大差で圧勝したんやと思います。
全国を歩くと、“変化”への強い期待をひしひしと感じます。先日も、岡山と福岡で講演してきたんですが、「うちの街でも明石のような市長を作ってください」と言われましたもん。花咲爺さんやないけど、各地で「泉が来ると、市長を作ってくれる」みたいなことを言われる。今までみんな、誰が市長になっても同じと諦めていたのが、市長が変われば街も変わると、気づき始めた。
私が市長を辞めたとき、今後の政治への関わり方として考えたのが「横展開」「縦展開」「未来展開」です。
「横展開」とは、明石でやったことをほかの街に広げること。「縦展開」とは、それを「県」や「国」で実行すること。「未来展開」とは、50年先の世代にも責任を果たすということ。
まずは「横展開」から始めていて、市長選では、構図さえ作れれば勝つ自信はある。そうやって、全国の街をオセロの駒のようにひっくり返していけるといいですね。
じつは、首都圏で明石と同じ30万人規模の街をひっくり返そうと企んでいます。今度はもっと私が前面に出て、長く続けてきた現職の市長を一瞬で倒す。その戦略を描いています。実際、候補者とも話をしています。
「縦展開」のほうも、いろんな可能性が生まれている。あんまり言うたらあかんけど、いろんな政党からオファーがきているし、新党結成の機運も高まってきている。
県知事選はそう簡単にいかんけど、市長選なら勝たせる自信はある。全国を「市民に優しい街」に変えていくので、見ててください!