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「金正恩は“罠”に落ちた」プーチンが企む12月上旬「北朝鮮&ベラルーシから戦術核」の“二正面作戦”
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.09.27 06:00 最終更新日:2023.09.27 06:00
「テロリストに核を保有する権利はない」
9月20日(日本時間)、ウクライナのゼレンスキー大統領が国連総会で、ロシアをこう批判した1週間前――。
北朝鮮の金正恩総書記は、ロシアのプーチン大統領から破格のもてなしを受けていた。
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「9月13日、露朝首脳会談がおこなわれたボストーチヌイ宇宙基地は、ロシア国内に5つあるなかでも、最新鋭かつプーチン肝入りの基地です。そこに金正恩総書記を招待したのは、ただならぬ理由があると、私は考えています」
そう語るのは、ロシア政治が専門である中村逸郎筑波大学名誉教授だ。
表向きの会談内容は、「人工衛星開発で協力していく」と、結束強化を打ちだすもの。だが、中村氏は4年半ぶりにおこなわれた首脳間の対話から、大きな変化を読み取った。
「2019年にプーチンと金正恩が初めて会談したとき、2人は13秒間、握手しました。今回は40秒間も手を握っていたんですね。さらに前回、プーチンは30分、遅刻して会談に臨んだのが、今回は先に会場に入り、建物の前で金正恩の到着を待っていたんです。格別のもてなしを見せつけたわけです」(中村氏、以下同)
過去に、プーチン大統領から同様の厚遇を受けた外国の要人がいた。
「2022年4月、ベラルーシのルカシェンコ大統領も、この宇宙基地を訪問しているんです。当時、ルカシェンコは『このような基地を外国の首脳が訪問することはあり得ないことだ』と、感銘を受けていました。その後の2023年5月に両国は、ロシアがベラルーシに戦術核を置くという協定に調印しています」
6月に、ロシアからの核兵器搬入が始まったとき、ルカシェンコ大統領は「広島と長崎に投下された爆弾の3倍以上の威力がある」と豪語している。
「注視すべきなのは、戦術核は譲渡されたのではなく、管理・運用するのはロシアで、ベラルーシは手を出せない状態になっていることです。そこに、プーチンの“罠”があるんじゃないかと、私は考えています。そしてこの一連の流れが、今回の露朝首脳会談にも当てはまるのです」
プーチンの“罠”。それに金正恩総書記も引っかかった可能性があるというのだ。
「これだけのもてなしをしたのだから、しっかり恩返しをしろ、ということです。ルカシェンコも金正恩も、国際的に孤立しているなかで、プーチンの招待に応えてしまった。1、2カ月以内にロシアは、北朝鮮にも戦術核を置き、管理・運営していくことが考えられます」
ロシアは、2024年3月に大統領選を控えている。ウクライナでの戦果を出せていない“窮鼠”のプーチン大統領が暴発しようとしているのだ。
「ベラルーシからは、ウクライナの首都キーウを撃つ。北朝鮮からは、ソウルを撃つ。プーチンは、アジアとヨーロッパの“二正面”で、至近距離から同時に戦術核を撃つことを考えているはずです」
国際社会もロシア国内も大混乱するが、それこそがプーチンの狙いだ。
「総動員体制を宣言して、大統領選挙を延期する腹づもりでしょう。過去の大統領選では、プーチンは12月20日ごろに出馬表明をしていますから、12月上旬には、二正面作戦が実行される危険性が高くなっていると思います」
北朝鮮にとっても、核は日米韓に対する抑止力になるメリットがあるわけだが、ここでもプーチンが一枚、上手だ。
「ロシアは自国から核を撃つわけではないので、アメリカは直ちにロシア本土に撃ち返すわけにはいきません。北朝鮮とベラルーシをアメリカの核報復の矢面に立たせようと、プーチンは考えているんじゃないでしょうか」
その大混乱に乗じて、ロシア軍がザポリージャ原発を攻撃する――。いよいよ追い込まれたプーチンの、最後の一手である。