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「ものを買うときは大型店で」「タクシーは法人の車で」インボイスが零細事業者を直撃、あふれる悲鳴を聞け!
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.09.30 15:44 最終更新日:2023.09.30 15:44
いよいよ10月1日からインボイス(適格請求書)制度が始まるが、零細事業者はもとより、会社員にも困惑と混乱、怒りが広がっている。
「これまで年間売り上げが1000万円以下の事業者は、消費税の納税が免除されていました。しかし、今後は『課税事業者』になって消費税を納めるか、『免税事業者』のままでいるのか二者択一を迫られます。免税事業者のままだと、取引先が消費税を負担することになるので、仕事を減らされたり取引価格を減額されたりする可能性があります。
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フリーや零細事業者への負担が大きすぎるとして、『インボイス制度を考えるフリーランスの会』がオンラインで集めた反対署名は、国内最多の約54万筆になりました」(社会部記者)
この署名をめぐっては、当初、岸田首相が受け取りを拒否したと報じられたが、9月29日、同会は「議員会館で首相秘書と面会して情報が入ったUSBを手渡した」と発表している。
この制度を「弱い者いじめ」だと感じている人は多いようだ。埼玉県内のある農家(80代)は、「小松菜や枝豆を出荷しているけど、消費税をもらっているという気持ちはないんだよね。『キロいくら』だから。注文を受けるのもファクスか電話。それでいきなり『登録して帳簿をつけなくちゃダメだよ』って言われてもできないよ。だけどそれをしないと儲けが減るんでしょ? どうしたらいいんだい?」と肩を落とす。
売り上げ1000万円以下がほとんどを占める個人タクシーの多くは、苦渋の末に課税事業者になった。
「よく利用してくれる会社の方が教えてくれましたが、会社から『インボイスに登録していないタクシーの使用は認めません。必ず法人タクシーを使ってください』みたいな通達があったそうです。法人(タクシー)は課税事業者ですからね。
そのうえ、チケットや配車サービスも受けられなくなるかもしれないと聞きましたから、帳簿づけとか面倒だし経費もかかるけど、われわれ個人(タクシー)のほとんどが課税事業者になりました」(都内の個人タクシー運転手)
免税事業者となったタクシーは、屋根にある行灯(あんどん)の色や形状を、自己負担で特別な形式にしたり、免税事業者であることを知らせるステッカーを貼るのだという。
免税事業者のままでいる小売業者も売上が激減しそうだ。
「経理から『物品を購入するときは、その店が課税事業者であることを確認してください。免税事業者の領収書は認めません。大型店舗で購入することを推奨します』と言われました。購入金額の線引きなどはまだ混乱しているようですが、街のお店は危機的状況になるでしょうね」(流通関係者)
開始目前でこの混乱ぶり。だが、岸田首相は9月29日の記者会見で、「インボイスへの対応、複数税率が決定してから4年間にわたって、さまざまな準備を進め、そして説明を続け、これまで何もしていなかったのではなく、何年にもわたってその対応を考え、説明を続け、そして今日に至ったということであります」と語っており、庶民の混乱には理解が及ばないようだ。
そのため、ニュースサイトのコメント欄には、
《開始2日前に初会合、既に契約解除や廃業する店や事業所が出てきてから、不安解消って、何を言っているのでしょう》
《何年も説明を続けて色々と準備出来ているなら、何故こんな問題が起きる?とは、考えてなかったのかな?》
《岸田総理はインボイス制度を何年も説明を続けてきたと言っているが、問題なのはそれがきちんと国民に伝わってない事だよ》
などと、批判の声が多くあがっていた。
マイナンバーカードに続く混乱が容易に想像できる。岸田首相は先の会見で「事業者の悩みを把握し、きめ細かい取り組みを指示した」と支援を明言したが、制度開始の2日前にすることだろうか。
( SmartFLASH )