社会・政治社会・政治

自見はなこ万博相 厚労省に口利きメモ「PCR詐欺」業者に「滞りなく入金を」

社会・政治 投稿日:2023.10.17 06:00FLASH編集部

自見はなこ万博相 厚労省に口利きメモ「PCR詐欺」業者に「滞りなく入金を」

自見大臣は2023年9月には、無報酬が原則の選挙運動で、2022年に動画編集料として広告会社に計約589万円を支払っていたとして、公職選挙法違反で刑事告発されている(写真・共同通信)

 

 新型コロナウイルスの感染が急拡大していた2022年前後、街でよく見かけた無料検査所。受検者数を増やすためにばら撒かれた補助金が、不正の温床となったことは、すでにメディアを賑わせているとおりだ。



 2022年9月、厚労省が作成したメモには、《厳重取扱注意》と但し書きがつけられ、補助金の不正請求をおこなった4業者(「JOY」「Medical 4 men clinic」「彩祥会」「ヒューマンプランニング」)に不交付が決定した旨が記されている。都庁担当記者が解説する。

 



「ここに記された不正事案は、2023年6月2日に東京都が公表した、補助金を不正申請した11事業者の一部と一致します。不正総額は183億円に上り、そのうち実際に17億円は交付済みになっています」



 この4業者を厚生労働省が記録した理由は、メモの末尾にこうあるからだ。



《※なお、上記事業者に関しては、自見はなこ議員からの照会あり》



 9月の内閣改造で初入閣を果たし、低支持率の岸田内閣で“目玉”の女性閣僚として気を吐く自見英子万博大臣(47)が、この「詐欺業者」についてわざわざ問い合わせたというのだ。先の記者が続ける。



「2008年に成立した国家公務員制度改革基本法で、議員と官庁職員が接触した場合、記録を残すことになっています。自見議員は、この4業者に補助金が滞りなく入金されたかどうか、確認をおこなったのでしょう」



 自見大臣は、2016年の参議院議員選挙で初当選。厚労省政務官だった2020年、当時副大臣の橋本岳衆院議員(49)との不倫関係が報じられ、翌2021年に結婚している。政治部デスクがこう評する。



「自見さんは“役人を振り回す”議員として、霞が関では有名です。厚労省のある官僚は、少子化対策に関するレクで呼び出され、4時間あまり拘束された挙げ句、資料の整え方が悪いと激しく罵倒された経験があるそうです。お嬢さんで世間知らずの面があり、人に迷惑をかけていることに無頓着だと評判です」



 じつは、これらの4事業者は“名義貸し”をしていたにすぎず、実際に検査所を運営していたのは東京都港区の飲食店コンサル会社「H」だった。H社関係者が明かす。



「検査所の事業者として登録できるのは医療機関、薬局、衛生検査所に限られていたため、コロナ禍では名義の貸し借りが横行していました。4事業者のうち3つは、東京都北区の女性医師の運営で、彼女がH社のT社長の部下と親しく、名義を貸したのです」



 T社長には未公開株取引をめぐる詐欺事件で逮捕歴があり、さらに、詐欺事件で得た利益を脱税したことで実刑判決を受けた過去がある。



 今回、T社長は社員らを動員して、何度もPCR検査を受けさせる手口で架空申請をおこなった。だが、都は審査過程で不正に気づいた。



「同じ規模の検査所に比べ、著しく検査件数が多い、感染者数の減少局面にもかかわらず、検査件数が著しく伸びているなどの状況や、実際には検査を受けていない事例が確認された」(保健医療局)



 補助金が下りずに困ったのはT社長だ。前出のH社関係者が内情を明かす。



「T社長は100人単位でスタッフを雇っていたうえ、暴力団関係者から9億円もの借金をしていました。焦ったT社長は自見大臣、ほっち易隆都議、衆院議員の元秘書のK氏に、補助金が入金されるよう口利きを依頼したのですが、自見氏は不正受給案件だとは知らなかったようです」



 ほっち都議は、自民党都連の青年局長を務めるホープだ。不正請求のことは知らなかったといい、口利きを否定しつつ、経緯を説明した。



「4事業者のうち、私は彩祥会しか存じ上げていません。知り合いから彩祥会役員を紹介され、『補助金未払い分の入金を早くしてほしい』との依頼を受け、東京都に問い合わせたところ、『警察関係が調べていて無理』とのことなのでそれをお伝えしました。(T社長とは)面識もなく、不正の公表後に私の事務所に何度か連絡がありましたが、会話はしていません」



 自見大臣に厚労省へ口利きをおこなった事実や、T社長との関係を問い合わせると、弁護士名義での回答があった。



「ご指摘の4事業者に対する補助金の不正受給を口利きしたという事実はありません。依頼人(注・自見大臣のこと)としても補助金の不正受給は税金を不正に搾取する行為であり、許されざるものと認識しております。また、過去の面会記録などを調査したところ、依頼人とH社およびT社長との接点があったとの事実は確認できておりません」



 結果的に、4業者による補助金不正は未遂に終わった。だが、元厚労省医系技官の木村盛世氏は呆れて語る。



「政治家が人から頼まれて、こうした口利きをおこなうことはよくあることで驚きはありません。ただ、自見さんのような厚労族の大物政治家から照会があれば、役人は迅速に丁寧に対応せざるを得ません。自分が厚労省に対して影響力があることを自覚したうえでこうした照会をすることは、脇の甘さを役人に印象づける結果になったと思います」



 権力の使い方は、かくも難しい。

( 週刊FLASH 2023年10月31日号 )

続きを見る

社会・政治一覧をもっと見る

社会・政治 一覧を見る

今、あなたにおすすめの記事