社会・政治社会・政治

「女性には手を上げない」「愛人の家に宿泊」埼玉・郵便局立てこもり事件“モテ男”86歳元暴力団員の想定外素顔

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.11.06 06:00 最終更新日:2023.11.06 06:00

「女性には手を上げない」「愛人の家に宿泊」埼玉・郵便局立てこもり事件“モテ男”86歳元暴力団員の想定外素顔

11月2日、蕨警察署から、さいたま地検に身柄を送られる鈴木容疑者。かなりやつれた様子で、目が虚ろだ(写真・梅基展央)

 

「最初にドーンという音が鳴った。発砲音じゃなくて、火事が起きたのかと思ったよ」(戸田中央病院関係者)

 

 10月31日、鈴木常雄容疑者は、埼玉県戸田市の自宅アパートに放火した後、戸田中央病院で医師と患者に対し発砲。その後、同県蕨(わらび)市の蕨郵便局に2人の女性職員を人質に取って立てこもった末に、人質強要処罰法違反の疑いで逮捕された。

 

「鈴木容疑者は、指定暴力団に所属していましたが、20年以上前に破門されています」(社会部記者)

 

 

 閑静な住宅街を恐怖に陥れた凶悪犯罪。ところが、鈴木容疑者のことを知る近隣住民を取材すると、意外な素性が明らかになった。

 

「うちの店には鈴木さんの奥さんが、2008年ごろ家電を買いに来ていましたよ」

 

 戸田市で家電量販店を営む店主は続けてこう語る。

 

「常雄さんは酒癖が悪く、怒るとテレビを投げつけるらしいんですよ。2009年なんて、奥さんが4月、6月、7月、12月と計4回もテレビを買い替えに来ました。奥さんいわく『私を殴れないからテレビに八つ当たりしちゃう』らしく、あんな優しい女性がなんであの人と一緒にいるのかと思いました。奥さんは当時、40歳前後で、常雄さんとは30歳以上離れていました。2011年に、奥さんが7台めのテレビを買い替えに来て以降、見かけなくなった。おそらく別れたんでしょう。2022年2月、常雄さんから修理の依頼が来て、まだ生きていたんだと思ったよ」(同前)

 

 物にあたっても、女性には手を上げない――。不器用な性格の鈴木容疑者には、モテ男の一面があった。別の女性関係の話を語るのは、鈴木容疑者が行きつけだった理髪店の店主だ。

 

「鈴木さんは週に2、3回、昔からの顔馴染みと、神奈川県や千葉県に釣りに行くと言っていました。釣りに行った後、愛人の家に泊まることがちらほらあったそうです。愛人は一人とは限らないよね。若いころは地方を転々としながら暮らしていたそうで、今でも当時気に入っていた旅館に足を運んでいるみたいです」

 

 自由気ままに各地を放浪し、出会った女性とロマンスを重ねる――。まるで“寅さん”のような暮らしぶり。

 

「鈴木さんが来店するときは、必ず1.5リットルのペットボトルの飲み物を理容師の人数分、差し入れてくれました。ほかにも釣った魚は食べずに人にあげていましたね。自分はあまり気にならなかったけど、眉にタトゥーが入っていて、どんなに暑い日でも長袖を着ていた。見た目は確かに怖いけど、自分にとっては優しいお客さんでしたよ」(同前)

 

 鈴木容疑者と長い間、友人だという別の電器店の店主も、「気っ風のいい男だった」と明かす。

 

「私は2005年からの付き合いです。最初はテレビを買ってくれて、仲よくなるにつれて、洗濯機やDVDプレイヤーも買ってくれた。演歌が好きでしたね。会計はいつも現金で一括払い。金額に端数が出ると、上乗せしてくれて釣りはいらないよって。普通、仲よくなったら値切ろうとする人が多いのに、親分肌で優しい人ですよ」

 

 さすが“寅さん”、気前もいいし、義理堅い性格でもあった。鈴木容疑者が住んでいたアパート管理会社の担当者は、こう語る。

 

「鈴木さんは月初めにきちんと家賃を払ってくれていました。10月分の家賃を滞納していたのですが、こんなことは、20年以上住んでいて初めて。11月6日の昼に払いますと言っていたのですが……。報道ではキレやすいとか、怖いといった近所の話がありましたが、30代の自分に敬語で話してくれていましたし、丁寧な人という印象です」

 

 じつはこのアパートは、道路の拡幅にともない、2024年3月ごろを目途に取り壊すことが決まっている。

 

「ちょうど事件の前日に、立ち退きの話を伝えに行きました。退去の話について聞くと、『役所の人は来るのかな?』と返事をするだけで、特に変わった様子はなかったです。まさかその翌日に、あんな事件が起きるなんて……」(同前)

 

 退去が決まり、将来への不安や日ごろのイライラが爆発して、凶行へと走らせてしまったのか――。

 

「男ってものはなぁ、引き際が肝心よ」

 

 鈴木容疑者には、寅さんの名ゼリフを思い出してほしかった。

( 週刊FLASH 2023年11月21日号 )

続きを見る

今、あなたにおすすめの記事

社会・政治一覧をもっと見る