社会・政治
ジャニーズ「チケット詐欺」被害者が語るネット転売の闇
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.09.30 20:00 最終更新日:2017.09.30 20:00
他人になりすまし、人気アイドル「関ジャニ∞」のコンサートチケットを売買するふりをして、現金をだまし取ったとして、京都市内の女子中学生が詐欺容疑で書類送検された。中学生はツイッターを使ってチケット売買のやりとりをしていたとされる。
インターネットでアイドル名とともに「チケット」「ツイッター」と検索をかけると、「チケット譲ります」「欲しい方はDM(直接やりとりできるメッセージ機能)お願いします」という書き込みが山ほど出てくる。
じつはいま、こうしたSNSを使ったコンサートチケット詐欺が蔓延しているのだ。
「まさか自分が騙されることになるなんて」
こう語るのは、実際に9月に「Hey! Say! JUMP」のコンサートチケット詐欺にあった神奈川在住の女性Aさん。
「一緒にコンサートに行く友人を通して、ツイッター上に『チケット譲ります』と出ていたアカウントにDMを送りました。私たちも警戒していたので、まずは相手の提示する額の半分だけ振り込み、残りはチケットが届いてから支払うことにしました」
定価7000円のチケットを4枚、1枚2万円で購入する約束をした。全部で8万円なので、その半額の4万円を振り込んだ。
ところが、お金を振り込んだ直後から連絡が取りにくくなり、返金を要求したところ、2度返信があっただけで、結局チケットも届かず、返金もされないまま、コンサート当日が過ぎてしまった。
すでに連絡は途絶えているので、Aさんたちは騙された可能性が高い。
「京都のチケット詐欺では、捕まったのが中学生だと知って愕然としました。私の場合も、やりとりを見る限り、とても社会人経験のあるような人物には思えませんでした」
相手の口座名をネットで調べたところ、「同じ人物に騙された」と名乗り出ている被害者が複数いることが判明。現時点で、同一のLINEアカウントが3個の振込先を使って詐欺に及んでいる可能性があるという。
Aさんによれば、SNSを介した単純なチケット詐欺の他にも、チケット購入の条件としてポイント購入を勧める手法があるという。
「コンサート最終日などのレアチケットは、購入希望者が殺到するため、チケットの転売も抽選になります。そこで売主側は、メルカリなどで1枚300円の応募券を買わせるのです。応募券を10枚買えば当選率が10倍になる、というのが謳い文句です。チケットを実際に持っていなくても、こうやって簡単にお金が入る仕組みを作っているのです」
チケットをどうしても手に入れたいファン心理を利用した、巧妙な金儲けの手口だ。
ジャニーズファミリークラブコンサート事務局は、そもそも正規でないチケットの購入を禁止しており、HPでは詐欺に関する注意喚起もなされている。そのうえで、顔認証システムを導入するなど転売防止策を講じているが、あまり効果は出ていない。
Aさんは神奈川県内の警察署に相談に行ったが、被害届は受理されなかったという。
その理由を、本誌が神奈川県警の広報県民課へ問い合わせたところ、「(受理しなかった理由は)本人からの問い合わせでないため回答できません。Aさんが被害を受けたことが確認できる材料が揃えば、被害届を受理します。件数は明かせませんが、同様の詐欺に関する相談は、他にもあります」とのことだった。
しかし、Aさんが同一LINEによる被害者たちにコンタクトをとったところ、詐欺の被害届を受理した警察署は一つもなかったという。なかには話すら聞いてくれない警察署もあったそうだ。
詐欺事件は立件が難しく、被害が数万円と小額で、しかも被害者が全国に散らばっているため、警察はなかなか本気で取り合おうとしない。
チケット詐欺は、こうしていまも野放しのままだ。