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サイバー攻撃で大停電!日本が学ぶべきウクライナの教訓
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.10.01 06:00 最終更新日:2017.10.01 11:34
北朝鮮からの攻撃は、核ミサイルだけではない。
ひそかに実力をつけているのが、コンピューターのハッキング技術だ。
北朝鮮のハッキングといえば、金正恩を暗殺するという映画『ザ・インタビュー』に対し、制作元の米ソニー・ピクチャーズをハッキングして、内部情報をばらまいたことが知られている。
だが、ハッキングの恐怖は情報が漏れることだけではない。電力や電話など、インフラをまるごと停止させることが可能なのだ。これは映画の話ではなく、現実にウクライナで起きている。
2015年12月、ウクライナのキエフが大規模な停電に見舞われ、22万5000人が数時間にわたって電気のない生活を余儀なくされた。
アメリカCBSニュースは、ウクライナの電力コントロールセンターの所長バセル・ヘムチェックに取材している。彼は、コンピューターがハッキングされたときのことを「それはもう混乱してしまい、まるでハリウッド映画のワンシーンのようだった」と振り返っている。
ハッカーは電力会社の社員たちのコンピューターにウィルスを送りつけ、そこからアクセスするためのログインコードを盗み出し、60カ所の変電所のスイッチを遮断した。
犯人の目的は東ウクライナで続く、親ロシア派とウクライナ政府の内戦にまつわる報復と見られている。「ブラックエナジー」と呼ばれるウィルスの一種が使用された疑いが強い。
停電のみならず、2016年6月には政府の公共機関のコンピューターが狙われたり、銀行3000店が閉鎖に追い込まれたりした。クレジットカードが使えなくなり、空港や電話なども大きな影響を受けた。さらに、病院の機能が落ち、文字通り人命に関わる被害が続いた。
ウクライナのペトロ・プロシェンコ大統領は、2016年の11月と12月に6500回以上のサイバー攻撃があったと明かしている。
こうした攻撃により、政府機関でも数週間、企業によっては1カ月以上も、パソコンなしの業務を強いられたという。
北朝鮮のサイバー攻撃は、朝鮮人民軍の偵察総局傘下にあるサイバー部隊『121局』が担当しているとみられる。元韓国国防省の分析官・高永喆氏は、かつて本誌の取材に「軍偵察局は金正恩の肝いりで作られた組織で、ネット上での宣伝工作を仕掛ける『204局』と合わせ約6000人の要員を抱えていると推測される。彼らの実力はCIAと同レベルと言われる」と語っている。
実は、インフラの破壊は、サイバー攻撃以外でも可能だ。北朝鮮は9月3日に「電磁パルス攻撃」の可能性を示唆した。
「電磁パルス攻撃」は、上空数十キロ~数百キロの高度で核爆発を起こし、強烈な電磁波を発生させるもの。この電磁波がコンピューターなどの電子機器の内部をショートさせ、物理的に破壊する。
アメリカFOXニュースに出演した元海軍特殊部隊のデーブ・シアーズ氏は、「もし大都市の中心で使用されれば、電磁パルス攻撃によってすべてのインフラが破壊される。その衝撃は、部分的ではなく我々の想像以上にグローバルに広がる」と指摘している。
ひとたび電磁パルス攻撃が使用されれば、その被害はサイバー攻撃を上回ると見られる。通信、銀行、交通、物流をはじめ、少なくとも1カ月は食料、水などのライフラインも影響を受ける。
日本も何らかの対策を考えなければいけないだろう。