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【宝塚問題】「親にも言えない」「同期全体に影響が」現役・OGの口を閉ざさせる“外部漏らし”の恐怖

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.11.24 18:17 最終更新日:2023.11.24 18:22

【宝塚問題】「親にも言えない」「同期全体に影響が」現役・OGの口を閉ざさせる“外部漏らし”の恐怖

11月14日、宝塚歌劇団幹部は記者会見を開いた(写真・共同通信)

 

 宝塚歌劇団の劇団員の女性が、9月30日に亡くなっているのが発見されてから、2カ月が経過しようとしている。原因にいじめがあったとされているが、劇団側はあくまで長時間労働のみに問題の論点をずらし、11月20日には年内にも第三者委員会を設置すると発表しながら、いじめについての調査はそこでもおこなわない方針という。

 

 こうした劇団側の対応には一部のファンさえ業を煮やし、2023年、不祥事が発覚し会見をおこなった旧ジャニーズ事務所、ビッグモーター、日本大学などと比較する声もあがるほど。しかし、あまたいるタカラジェンヌOGのなかで、そうした劇団の体質に対し実名で批判をしたのは、公認心理師でもあるLGBT活動家の東小雪(旧芸名・あうら真輝)氏ぐらいだ。

 

 

 その東氏も、立て続けにテレビ報道の取材に応じた11月中旬以降、メディア露出を控えている模様。本誌の取材要請には、返答がなかった。その間、東氏が出演したのは、YouTubeのニュースチャンネル「Arc Times」のメンバー限定動画配信(19日)や、メディア系NPOのDialogue for PeopleによるYouTube音声配信(第1回は22日)などに限られる。批判発言の結果、東氏はバッシングを受けているようで、「Arc Times」の配信では「一部のファンやOGとみられる人たちから批判が寄せられる」「なかには誹謗中傷と受けとめられるものもあった」と認めている。

 

 東氏は一貫して、宝塚は常軌を逸した縦社会で「異常なまでの上下関係があり、それこそがハラスメント」だと訴えてきた。そして「下級生のときは自身が被害者だったが、上級生になると後輩に怒鳴り加害者になった」と、自身の非を認めてもいる。東氏自身、「宝塚の構造に取り込まれて、とめることができなかった」のだ。

 

 また、東氏は14日の『news23』(TBS系)出演時、自分に続いて声をあげるOGの登場を期待して、次のように語った。

 

「いま、本当に誰も何もおっしゃらないですけれども、『これはやはり、あってはならないことなんだ』『後輩が亡くなってしまって悲しい』『こんなことをやめなければいけない』ということを、誰か声をあげてくれたらと本当に思っています」

 

 しかし、東氏は「劇団内には“外部漏らし”という概念があって、それをするとすごく怒られ、同期全体がしめられることがある」とも続けた。宝塚内のことは「親にも言ってはいけない」のだ。この発言には、キャスターたちも驚愕していた。事実、親にもずっと相談できなかったから、死を選ぶ劇団員が現われたのだ。

 

 本誌は、亡くなった劇団員女性と期の近いOG何人かにも取材依頼をした。それぞれ社会問題に強い関心を持っていたり、なんらかの地域貢献をしていたりと、意識の高い面々だったが、すべて断られてしまった。“外部漏らし”を恐れるあまり、口をつぐんでいるのだろう――と、取材辞退の文面からは察せられた。あるOGは、こんな返信をくれた。

 

「どれだけオブラートに包んで、気をつけて発言しても、ネガティブな内容のコメントを取り上げられることになるかと察しました。

 

 自身も宝塚でいろいろな経験はありましたし、亡くなられた方がおられるので、黙っていることが美徳とは思っておりません。ですから、勇気を持って発言したほかのOGの方々をリスペクトもしております。

 

 しかし、私は、青春のすべてをかけた場である宝塚に対してネガティブな内容を発信することで、現在の職にも影響を与えることになると考えました」

 

 このOGも、きっかけさえあれば、きっと黙ってはいないだろう。しかし、いざ声を上げれば、内部での糾弾につながりかねないことへの恐れが、行間には漂っていた。

 

 劇団側は現役劇団員のみならず、OGにも協力を得て徹底したヒアリングをし、パワハラを疑われる指導のない環境改善に努めねばならない。

 

(文・鈴木隆祐)

 

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