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「修学旅行先が万博に」親たちの悲鳴は本当なのか国内旅行各社に直撃…専門家は「計画にはリスク伴う」と警鐘

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.12.05 13:50 最終更新日:2023.12.05 16:08

「修学旅行先が万博に」親たちの悲鳴は本当なのか国内旅行各社に直撃…専門家は「計画にはリスク伴う」と警鐘

350億円の追加費用が批判されている「リング」(大屋根)の建設現場

 

 会場建設費が当初の倍近い2350億円に膨らみ、批判を浴びている2025年大阪・関西万博。開幕500日前の11月30日時点で海外パビリオンに着工した国はゼロで、メキシコやロシアが参加辞退を表明するなど、各国の消極姿勢が目立つ。

 

 開催の意義そのものが問われている万博が、子供たちの修学旅行の行先になった――そんな声がX(旧Twitter)で上がり、多くが不満を表明している。

 

《来年の関西への修学旅行生が、万博見学になってるみたいです。 行きたくないって言ってますよ~》

 

《娘の修学旅行先が万博にされたそうです。無理やり動員された感じ…どこかの圧力?》

 

《半年前から、修学旅行先として旅行会社が提示してくるプランは万博ばかり、と東京の高校の先生がおっしゃってましたよ。高校生達は自分達でプランニングさせてくれ、と声をあげても良い》

 

《大学時代の同級生が勤務する東京の都立某有名校も、例年は北海道への修学旅行が慣例にも関らず再来年は万博になると嘆いてました》

 

 

 大阪府が修学旅行生に対し、万博開催中の府内の宿泊税を免除する方針を決めたこともあり、旅行会社は積極的に万博のプランを学校へ売り込んでいるのだろうか。

 

 本誌は今回、修学旅行を扱う大手旅行会社のJTB、KNT-CT、日本旅行、東武トップツアーズ、阪急交通社に、学校へ万博のプランを提案しているかどうかを質問した。

 

 とくに、万博を機に大阪を「アジアNo.1の国際観光文化都市」にすることを目標として、大阪観光局と包括連携協定を結んだJTBには、協定に基づいて万博のプランを提案しているのかを尋ねた。

 

 回答を得られたのは日本旅行のみで、以下のように述べた。

 

「修学旅行という学習機会に、その年度でしか体験できないコンテンツを提案することはございます。大阪・関西万博も例に漏れず、持続可能な社会を国際社会が共創していくテーマをもって学習要素を備えていると考え、修学旅行のプランの一つに提案することもございます」

 

 また、大阪観光局には、修学旅行で万博に行くことになったというSNSの声について、JTBとの包括連携協定が何か影響しているのかどうか、見解を尋ねた。同局からは以下の回答を得た。

 

「万博そのものが学びの場として修学旅行の貴重な機会になるため、各旅行会社が積極的に取り組む予定にされており、連携協定は関係ございません。また、大阪観光局には観光・運輸関連企業からの出向者も多数おり、旅行会社に関してもJTBだけでなくHIS・日本旅行・近畿日本ツーリストからもスタッフが来ており、連携して観光振興に取り組んでいます」

 

 各々の回答について、航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏が解説する。

 

「1970年の大阪万博やつくば万博の時代なら、学校側から万博に行きたいという要望が多かったはずですが、今はその気運がない。かつてと違って、今回の万博は何をやるのか、どんな楽しみがあるのかわからない。それにパビリオン工事の遅れも重なり、万博自体が批判されています。その負のイメージの影響を旅行会社が受けている面はあります。

 

 もちろん、旅行会社が万博のプランを提案するのは自然なことで、隠すことではない。修学旅行の計画は1年以上前から始めるものなので、旅行会社は『今年しかチケットが取れませんよ』とか、万博の教育効果を学校側に宣伝している可能性はあります。

 

 大阪観光局とJTBの包括連携協定については、JTBのイメージアップに繋がると思います。今は個人旅行でパッケージツアーを利用することは少なくなっていますが、やはり大きなイベントではチケットやホテルが取りづらくなるので、『じゃあ確実なJTBツアーに申し込もう』というニーズを見込んで手を結んだのではないでしょうか」

 

 いちばんの問題は、修学旅行のタイミングだという。

 

「私がもっとも懸念しているのは、春の“前半戦”の修学旅行ですね。海外パビリオンが開幕に全部出揃う可能性はほぼゼロなので、その早い段階に修学旅行を合わせていいのかという不安はあります。とくにコロナ禍などの例外的な理由を除いて、修学旅行の行き先は変更できない。だから、今の段階で万博の修学旅行を計画することはそれなりのリスクを伴います」

 

 とにかく2025年の修学旅行が、子供たちの一生の思い出に残るものになってほしい。

( SmartFLASH )

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