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六代目山口組 “全国統一” 向けて関東進出…髙山清司若頭は「ヤクザサミット」参加で「天下布武の大号令」【2023年闇の事件簿】
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.12.06 06:00 最終更新日:2023.12.06 06:00
「これは、まさにヤクザ界のサミットだ――」
暴力団事情に詳しいジャーナリストがこう感嘆したのは、2023年4月12日のこと。
横浜市内にある稲川会の施設「稲川会館」で、六代目山口組・髙山清司若頭、住吉会・小川修司会長、稲川会・内堀和也会長が一堂に会したのだ。
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六代目山口組から分裂し、神戸山口組が結成されて丸8年。これまで数々の抗争事件が起きてきたが、今年は長い沈黙が続く時期もあった。
「神戸山口組は宅見組が離脱。勢力が大きく削がれた。井上邦雄組長は籠城し続けるのかもしれないが……」(都内在住の暴力団関係者)
一方で、六代目山口組は冒頭のとおり、他団体との親睦を深め、さらにヤクザ界の全国制覇を目指しているという。
「六代目山口組は来年にも、関東の独立系の指定暴力団を傘下に入れるとみられている。六代目山口組の関東での勢力はますます強くなり、全国統一に繋がる。
ヤクザ界は、一致団結しなくては生き残れない。天下布武の大号令をかけるのではないか」(同前)
しかし、トップが “外交” に励むなか、凄惨な事件も勃発していた。4月22日、神戸市内のラーメン店で、店長を務める六代目山口組系弘道会傘下・湊興業の余嶋学組長が、何者かに射殺された。
「逃走した犯人の映像を見ると、別の銃撃事件で指名手配中の絆會最高幹部に似ているとの情報がある。絆會・織田絆誠(よしのり)会長の側近中の側近といわれた人物で、この事件は抗争の一端ではないかとみられています」(大手紙社会部記者)
また1月には埼玉県狭山市で、絆會の鈴木頼一若頭補佐が射殺される事件が起きていた。犯人は2人組で、銃撃後バイクに乗り逃走。いまだ逮捕にいたっていない。
構成員は減り続け、高齢化も止まらないヤクザ界。加えて、他人名義のETCカードを利用したことで逮捕者が全国的に続出したほか、暴力団内で「LINE使用禁止」が通達されるなど、“普通の生活”が送れなくなっている。
前出の暴力団関係者はこう言う。
「今のヤクザのおもなシノギは、特殊詐欺と薬物だろう。不動産を所有していたり、飲食店や金融を持っている組織はまだいいが、各組織とも、月々の上納金を支払うのに必死だ」
実際に、今年増えた特殊詐欺事件や強盗事件の指示役として、暴力団の関与が次々に浮上していた。
フィリピンを拠点にした「ルフィ強盗事件」で逮捕された今村磨人(きよと)被告、渡邉優樹被告の背後にも、六代目山口組傘下の組織の存在が取り沙汰されている。
「六代目山口組の髙山若頭は、北海道の傘下組織幹部を呼び、“ルフィ” に指示を出していたのか確認したようです。組織としては、上まで責任が及ぶことは避けなければいけない」(前出・暴力団関係者)
8月に発生した上野の金塊強盗致傷事件では稲川会、特殊詐欺グループ一斉摘発では住吉会、さらにカンボジア拠点の特殊詐欺グループでは工藤會の関与が明らかになった。
「若手の組員たちは組織を超えて、組員同士の “ヤクザ連合” で特殊詐欺をやっているケースが多い。携帯電話やパソコンを駆使し、海外から電話をかけ、国内の人間を動かすのは、高齢の組員には難しい。しかも若い組員は、組織間の抗争にはあまりこだわらないし、犯行に半グレも使っている」(前出・暴力団関係者)
5月に銀座で発生したロレックス販売店の強盗事件は、現時点でヤクザが関与していないとみられている。だが、銀座に勢力を持つ暴力団は、“シマ” 内での事件に激怒したといわれた。
抗争事件が減少した一方で、“内輪揉め” が増えているのは住吉会だという。前出のジャーナリストが語る。
「住吉会内部で、幸平一家傘下組織と村田会で、お互いの車に植木鉢やブロックを投げつける事件が発生しました。ほかにも、幸平一家が別の住吉会内部の組織と揉める事件が発生しています」
若手が多く、新宿・歌舞伎町にも勢力を拡大する幸平一家だけに、同じ住吉会内部でも突出する存在だという。
「幸平一家は、住吉会内部で誰も止められない状況。これまでは、こうした内輪揉めが表沙汰になるようなことはなかったが、もう抑えが効いていない」(前出・暴力団関係者)
若手組員の活動が活発なことに対して、歳を重ねた元ヤクザの暴走事件も起こっている。
5月に町田駅で発生した銃撃事件で逮捕された元稲川会組員は、六代目山口組系組員を殺害した拳銃について「数十年前に購入した」と供述。
さらに、10月に埼玉県蕨市で拳銃立てこもり事件を起こした鈴木常雄容疑者も、住吉会系の元組員だった。
前出の暴力団関係者はこう話す。
「歳を取り生活が厳しくなると、事件を起こして逮捕され、刑務所で生活したほうがましだと思うのだろう。彼らが大事に持っていた拳銃を使うのは『これが最後だ』と思っているから。今後、こうした事件はもっと増えるはずだ」
もはや “チャカ” が用いられるのは抗争だけではない。行き場のない組員たちの “最後の抵抗手段” になりつつある――。