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金正恩「先制攻撃の可能性」に「核シェルターが必要」と専門家
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.10.04 06:00 最終更新日:2017.10.04 06:00
このところ北朝鮮による核の脅威が日に日に高まっている。アメリカのトランプ大統領が国連総会の場で、「北朝鮮を地上から抹消する」と狼煙を上げれば、北朝鮮の金正恩労働党委員長は「アメリカ本土を焦土と化す」と号砲を打ち上げる。
まさに「言葉のミサイル」が飛び交う米朝関係は危険水域に突入したわけで、「もうどうにも止まらない」といった有様だ。アメリカの議会でも「経済制裁をいくら強化しても金正恩の核開発を断念させるのは難しい。戦争もやむなし」といった雰囲気が出ている。
急きょ北京を訪問したティラーソン国務長官は習近平主席との会談で、「北朝鮮の破壊を望んでいるわけではない。北朝鮮との直接交渉のチャンネルは2、3確保しているので、話し合いの可能性を探っている」と明らかにした。
これまで中国による北朝鮮への圧力を期待していたトランプ政権だったが、「中国頼み」に見切りをつけた形だ。
実際、ノルウェーやスウェーデンを舞台にして水面下の米朝交渉が進んでいるようだが、金正恩の「核保有国への夢」は消えそうにない。
アメリカのハガティ駐日大使は9月29日、都内で開催された在日米商工会議所の昼食会で「米朝間の戦争の可能性は現時点では低い」とアメリカによる先制攻撃を躍起になって否定したが、北朝鮮によるミサイル発射の準備は着々と進行中のため、アメリカの軍事作戦も本格化しているようだ。
アメリカやイギリスの諜報機関の分析では、「トランプの挑発に乗り、金正恩がアメリカや同盟国への先制攻撃を仕掛けるシナリオが想定される」という。
万が一、そうした事態になれば、米軍基地のある韓国や日本が標的になるのは避けられそうにない。そうした最悪のシナリオが現実のものとなった場合、生き残る方法はあるのだろうか。
日本政府に頼っていては難しいだろう。なぜなら、イージス艦やPAC3による迎撃で北のミサイルを打ち落とせる可能性は極めて低いからだ。なにしろ実戦での経験が皆無の迎撃ミサイルである。一説には命中精度はたった3%ともいわれている。
首相や政府の要人は地下シェルターに避難する手はずとなっているが、残念ながら、一般国民には生命を守る手立てはないに等しい。ではどうすればいいのか。
実は、イスラエルでは全てのビルや住居に核シェルターの装備が義務づけられている。これを「CBRN(化学、生物、放射能、核兵器攻撃)防御システム」という。水の浄化システムとセットで普及しているのだ。
2011年の福島原発事故の際にも、日本政府が頼りにしたのがイスラエルから緊急輸入された放射線防御機能付きの緊急車両だった。常に戦時体制下にあるイスラエルならではの防衛技術である。
今からでも遅くない。間近に迫る核ミサイルの脅威に対処するにはCBRN防衛装置の導入を早急に進めるべきではないのか。教育の無償化より急を要する課題であることは間違いない。
(写真・文/国際政治経済学者・浜田和幸)