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安倍総理を追い込んだ「前川喜平」歌舞伎町でJKの貧困を語る

社会・政治 投稿日:2017.10.05 16:00FLASH編集部

安倍総理を追い込んだ「前川喜平」歌舞伎町でJKの貧困を語る

 

「彼女が学ぶ高校は、ネットで教材が配信され、中を読まなくても、一回でも開けば履修したことになるそうです。通信制高校のなかには、こうした非常に質の悪い学校があると痛感しました」

 

 前川喜平・前文部科学省事務次官(62)はこう語る。彼女とは、高校を中退した後、通信制高校に入り直した女性のことである。出会いは、新宿・歌舞伎町にある「出会い系バー」だった。

 

 前川氏といえば、読売新聞が5月22日付朝刊で、件のバー通いを報道。買春を疑わせる記述が物議を醸した。本誌はあらためて前川氏に歌舞伎町に足を運んでもらい、真意を聞いた。

 

「30~40人の女性と言葉を交わしました。共通しているのは、両親の離婚、親からの虐待など家庭環境に問題があることです。もちろん、その背景には貧困があります。孤立してどこにも居場所がない彼女たちが、居場所を求めて出会い系バーに来ていました。その実態は、外からはわかりませんから」

 

 加計学園グループの岡山理科大学獣医学部新設に関し、安倍総理の「ご意向」を伝えられたと証言した前川氏。 読売の報道後に、通った理由を「女性の貧困についての実地調査」と説明したが、その見識を問う声が上がった。

 

「個人的な『社会勉強』でしたが……。調査という言葉から、公費で行ったのか、という批判を呼んでしまった」

 

 バーにいた女性たちの多くは、不登校や高校中退の経験を持っていた。それは、いまの女子高生(JK)たちが抱える貧困をさらに根深くさせていた。

 

「不登校の子供は、小中学校で毎年12万人ほど。そのうち、ほとんど学校へ行かない『無登校』の子供は、1万5000人から6000人います。

 

 そういう子供たちは中学で学ぶべきことを学んでいない。卒業証書だけ押しつけられているのです。高校へ行っても基礎学力がないため、ついていけなくてドロップアウトする。高校中退者は約5%、 20人に一人が高校を卒業できていません。

 

 中退がきっかけで、人生が負のスパイラルに入っていく。セーフティネットを張って、もう一度自分の力で自立できるようにするのが、教育の大切な役割だと思いを強くしました」

 

 冒頭の女性からは、“特区” で誕生した通信制学校の問題に気づかされた。

 

「とくに、株式会社が運営する通信制高校の存在です。本来、学校経営は営利事業には馴染みません。従来は、公益性の高い学校法人でなければ、認可されませんでした。

 

 しかし、2003年の規制緩和にともなう構造改革特区の設置で、続々と開校。株式会社立学校は、現在全国で20校、そのうち18校が通信制高校です。規制緩和、構造改革特区と、加計学園問題と同じ構図があるのです」

 

 さらに問題は、文科省による実態把握が、十分でなかったことだという。

 

「以前から省内で問題視されていましたが、学校側の言い分以上に調べる術がなかったのです。バーで女性たちから聞いたことを役所で話したら、部下に『どこでこれを知ったんですか?』と聞かれてね。『ちょっとそれは言えないんだよ』と困ったことがありました」

 

 2017年1月に次官を辞任。文科省を離れても、教育には関わり続けている。そのひとつが、福島市と厚木市での「自主夜間中学」の支援だ。

 

「夜間中学の今後の役割のひとつは、不登校で学力不足のまま卒業した人たちの学び直しの場を提供することです。旧文部省以来、教育制度からこぼれ落ちた人たちを放ったらかしてきた経緯がある。

 

 現在の文科省は、公立夜間中学設置に積極的ですが、それを支援するのは、長年文科省という組織に属していた私の『贖罪』なのです」

 

 さて、読売が疑いをかけた行為はあったのか。本誌は6月13日号で、出会い系バーに集まる女性たちを取材したが、そうした証言は聞かれなかった。

 

「知ってほしいのは、出会い系バーに来る女性たちの深刻な実態です。読売新聞には、ぜひ “続報”を期待したいものです(笑)」

 

(週刊FLASH 2017年9月19日号)

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