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悪質ホストに髪まで切られ…「高額売掛金」問題、被害女性が告発する“鬼回収”の実態
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.12.15 18:09 最終更新日:2023.12.15 18:54
ホストクラブのつけ払い、「売掛金」の支払いのために女性客に性風俗店勤務や路上売春をさせる「悪質ホスト」は、深刻な社会問題として昨今報じられている。
12月5日、被害報告のほとんどを占める新宿区の吉住健一区長と、区内のホストクラブ13グループの代表らが集まり対策を協議した。協議後に会見したホストクラブ側の代表は、1月から段階的に売掛金を減らし、4月までに全廃すると発表した。協議の取材をした大手紙社会部記者は、こう解説する。
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「歌舞伎町には300店舗以上のホストクラブがありますが、参加したのは約200店舗です。1月から入金率を70%、以降、80%、90%に上げ、4月に100%にするということです。
また、未成年の入店の入店禁止、関係先としてのトクリュウ(匿名・流動型犯罪集団)と呼ばれる反社集団との決別も新指針として盛り込まれました。早期に業界団体を立ち上げて自主規制をするということです」
本誌も、ホストクラブ大手の系列店舗に在籍する有名ホストに、2000万円以上もの売掛を負ったことがあるというA子さん(22)に取材している。A子さんの手にある伝票には、「かけ」と記された、超高額の伝票の数々……。A子さんは、本誌にこう語った。
「1億円プレイヤーだと宣伝されているホストにも、入金ベースでは3割程度の売り上げというのはザラにいます。売れっ子、カリスマに見られたいホストと見栄を張りたい客が、払える見込みのない飲み代でも売り上げとして立てているのが売掛金の実態なんです。ふつう、そこまで飲み代を膨らませてしまう客はいませんよ」
担当のホストに、高額の売掛を作られてしまったA子さん。支払いを求められ、確認のため伝票を「送ってください」とLINEしても、当初ホスト側は「探すのめんどくさいんです」と拒否していたという。結局、A子さんは伝票を手に入れたが、悪質な「売掛」に、いまだ支払いは拒否している。
「締め日近くに来客ノルマを達成していないホストが、入店しないでセット料金だけ支払わせる店前会計を使うことはよくありました。また、『遠隔シャンパン』といって、やはり入店しないで、高額の代金を売掛として付けることは恒常的にあります。
私も、仕事の都合で中座した隙にLINEで高額ブランデーを強いられて、後日に900万円も売掛を作られたことがありました。さすがに払いませんでしたが、その日から自宅に押し掛ける、頻繁に支払いを求めるラインが来るなどの、“鬼回収”をされました。支払わないことに逆上した彼に、髪を切られたこともあります。そのホストは今、都内近郊店舗の代表になっています。ホストクラブには、客から金を吸い上げるだけの何十もの集金システムが、出来上がっているんですよ」
国会審議も行われるなどしている売掛金問題について、業界は自主規制ルールを自ら設けることで、何とか世間の批判をかわしたいというということなのだろう。だが、これで本当に売掛金を根絶できるのか。業界事情に詳しいフリージャーナリストの萩原ミカエル氏は、「規制が守られればホストクラブの市場規模は縮小する。だから、何らかの抜け道を探すだろう」と、こう語る。
「ホストバブルは売掛金の肥大化で起こったことは間違いない。入金率を高めれば間違いなく、客は右肩下がりに減ります。すでに売掛金の残高が途方もない規模なので、止めるなら一部を貸し倒れにするしかない。が、そうなったら店が潰れてしまう。なので店は今更、売掛を止めることができないんです」
じつは自主規制を見越した動きがすでにホストクラブ側にあるのだという。萩原氏がこう続けた。
「大手クラブなら地方支店があります。多くは首都圏ですが、そこにホストをゲスト出勤させるらしいです。客はゲスト出勤先に来店させます。そこで今まで通りの売掛を維持しようとしているようです。歌舞伎町ではないので規制外ということなのでしょう」
果たしてこの問題、解決するのだろうか――。
( SmartFLASH )