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「“政治にカネがかかる”は嘘!」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第27回】
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.12.20 06:00 最終更新日:2023.12.20 15:27
終わりの始まりや。安倍派の巨額裏金疑惑で岸田政権はボロボロ。内閣総辞職も語られるようになってきた。この際、安倍派は政府から一掃するしかない。
そして、この問題は安倍派や自民党だけに留まらない。野党も含めた私利私欲政治が根底から問われている。
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まず、「政治にはカネがかかる」という嘘に、政治家も有権者もマスコミも毒されている。その嘘が、日本政治の文化になっている。その文化を改めるしかない。本来なら、政治家が法整備して、自らルールを作ることが必要。
実際、リクルート事件後の1994年、当時の細川内閣が政治改革の名の下に政党交付金制度を作った。その前提となったのが、企業・団体献金の廃止やけど、完全には廃止していないし、抜け穴が多い。政治家自らが襟を正すこともない。
現在、東京地検特捜部が疑惑を捜査しているが、政治に忖度せずに正義をどこまで貫けるかも不安。安倍派が支配していた20年ほど、検察は人事に介入されて忖度せざるを得んかった。安倍さんが亡くなり、これまで悔しい思いをしてきた検察が一矢報いることができるか。
政治家の自浄作用は期待できないし、検察も腰砕けになるかもしれん。となると、最後は国民の力。金権政治家を選挙で落とすしかない。私利私欲政治から大転換するために何が必要か。
まず、政治献金の廃止。税金から政党交付金が315億円も出るんやから、それで十分賄えるはず。経団連の十倉雅和会長は毎年、自民党に24億円献金していることを「何が問題か」と開き直っていたが、違法でなくとも、見返りを求めているに決まってるんやから、まさに利権政治そのもの。即刻、廃止すべきや。
何度も言うけど、政治にカネはかからん。私のその主張に対して、野党系の国会議員までもが「地方に事務所を構えたり、人を雇ったりするとカネはかかる」と反論する。でも実際、私はカネをかけずに政治をやってきた。政治活動をするのに、地元に多くの事務所を構える必要なんかない。秘書も大量に雇わなくていい。それらは選挙対策にすぎない。
政治とカネの問題は、じつは身近なところに転がっている。実際、私の子供時代にも、周囲でカネ絡みの話は飛び交っていた。生まれ育った明石の漁師町では、大人たちが集まって、「地元の議員に10万円渡した」などと話していた。そのカネで市営住宅に入れてもらったとか、就職を世話してもらったとか。「このカネじゃ少ないと言われて、もう1回持って行った」とも聞いた。
子供心に、「なんで貧乏な漁師が、たくさんカネをもらってる政治家にカネを持って行かなあかんねん。政治家ちゅうのは困ってる人を助ける仕事ちゃうんか」と思ったのが、私のひとつの原点です。
後に市長になったときも、何度となく“口利き”を頼まれそうになった。「孫が明石市役所を受験するからよろしく」と、封筒にカネを入れて受験番号を書いて渡そうとするんですわ。「絶対、そんなもん受け取らん」と言って、きっぱりと断わりました。それでも、私だけやなく実家にもやってきたりしたから、「息子とは連絡が取れん」と言えと伝えたわ。そういう文化は、いまだに残っている。
昔、ある大物政治家から、「おむすびの中に、梅干しの代わりにラップに包んだ1万円札を入れて配ったりもした」という話を聞いたことがある。かつては、有権者に直接現金を渡すような選挙が珍しくなかった。今も、飲み食いさせるくらいは裏でやっていたりする。
私が2003年に国会議員に当選した直後、面識のない地元の有力者が事務所にやってきて、いきなり封筒を差し出してきたことがある。中を見たら200万円入っていた。腹が立って「舐めとんのか!」と、怒鳴って突き返した。要するに、金を受け取らせて言いなりにさせるつもりやったんやろうな。当選したての野党のペーペー議員にもカネを持ってくるんやから、与党の議員なんか、もっともらっとるやろね。
カネを出すほうは当然、口利きの効果があるからやっている。なんの効果もなかったら、誰もカネなんか出さん。企業がパーティー券を買うのもそう。私は市長時代、カネ集めのパーティーではなく、純粋な「市政報告会」をしていたが、あるとき、100万円を現金で渡そうとしてきた人物がいた。「趣旨が違います」と言ってお断わりしたが、ひどく驚かれた。
後日、その人物から直接、「公共工事の入札価格を教えろ」と言われ、そんなこと直接聞くかとびっくりして、「教えたら捕まりますよ」と言い返したら、「きれい事ばっかり言いやがって」と逆ギレされた。もちろん聞く耳は持たずに追い返した。
政治家は油断すると、こういう場面にしょっちゅう出くわす。安倍派はもう感覚が麻痺して、「みんなやっとるやないか」と、裏金を懐ろに入れてきた。みんなで渡れば怖くないんでしょうな。
この前、ホリエモンこと堀江貴文さんが、「泉房穂に1千億円を出せば政権交代できる」と発言しましたが、その100分の1も必要ない。
仮に衆院議員の全289選挙区に候補者を立てるとして、ナンボかかるかと。じつは選挙期間中については、公費がかなり出るので、ほとんどカネはかからない。選挙期間前の活動についても、ボランティアの協力を得れば、人件費はさほどかからない。チラシの郵送などはする必要はなく、SNSでの発信で十分だ。カネがなくても全国に候補者を立てられるし、そうすれば政権交代も可能。そのシナリオは次回、お楽しみに。