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【能登半島地震】記者が見た「孤立」続く珠洲市 道路は陥没、木造はほぼ倒壊、有名酒蔵も被災

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.01.06 06:00 最終更新日:2024.01.06 06:00

【能登半島地震】記者が見た「孤立」続く珠洲市 道路は陥没、木造はほぼ倒壊、有名酒蔵も被災

津波が浸水した住宅街

 

 1月1日に発生し、最大震度7を観測した「令和6年能登半島地震」は、1月5日午後2時までに、石川県内で死者94人、安否不明者222人となっている。各地で停電や断水、通信障害が続き、被害の全容はいまだ把握できていない。

 

 県内で、輪島市に次いで2番めに多く死者、けが人が出ている珠洲(すず)市に3日、本誌取材班は入った。珠洲市は能登半島の北端にあり、現在も多くの地域で孤立状態が続く。

 

 当初、輪島市から海岸線を走って珠洲市へ入ろうしたところ、道路が陥没や土砂崩れで寸断されて進めず、輪島市とは半島の反対側に位置する穴水町から向かった。

 

 

 穴水町から珠洲市への幹線道路は17時まで利用できると聞いたが、16時の時点で通行止めになっていた。地域住民によると、もう1本の道から行けるかもしれないとのことで、そこから珠洲市まで、約50kmの道を2時間近くかけて走り、ようやく現地にたどり着いた。

 

 ところが、停電で明かりがないうえ、雨が降り出し、周囲は真っ暗で何も見えない。近くに自家発電で営業するガソリンスタンドを見つけ、店主に話を聞くと、道路の地割れにより、車がパンクした客が、何人も来店しているという。自身も被災したという店主は、「家が津波でなくなっちゃったよ。もうそこには車も入れないから、いまはスタンドで寝泊まりしている」と話した。

 

 夜道でこれ以上の移動は控え、取材班は近くの病院の駐車場で仮眠を取ることにした。夜通し、スマホの緊急地震速報のアラームが鳴り響き、明け方には町中で防災無線の放送が流れ始めた。

 

 早朝から北上を試みたところ、昨夜の店主が言ったように、アスファルトが山の稜線のように盛り上がるなど、かなりの悪路で、1時間かけてやっと10km進むことができた。その地点で、取材班は北上を断念。そこから先は車ではたどりつけない、孤立状態の地域だ。

 

 珠洲市内の建物は、木造のものはほぼ倒壊。全国的にも知られる地元の酒蔵・宗玄酒造を訪れると、正面玄関は被害を受けていないように見えたが、隣に建つ倉庫は道路へせり出すように傾いて、つぶれていた。

 

 また、酒蔵からほど近い「カップルの聖地」と呼ばれる恋路海岸には、高さ数mの巨岩があったが、粉々に崩れて、嘘のように姿を消していた。

 

 4日には、救助犬や自衛隊のヘリコプターをちらほら見かけたが、住民によると、それまではほとんど現れなかったという。この一帯は手つかずの状況にあるということだ。早急に、生き埋めになっている人の捜索と、物資の調達が求められる。

( SmartFLASH )

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