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中国発“謎の肺炎”だけじゃない!日本国内での「感染症」流行を専門医が懸念、“受診抑制”を危惧する声も
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.01.11 06:00 最終更新日:2024.01.11 06:00
一難去って、また一難……。新型コロナウイルスの感染拡大がひと段落した日本に“大陸”から新たな脅威が迫っている――。
「中国ではインフルエンザ、アデノウイルス(咽頭結膜熱)、RSウイルスなど、呼吸器系の7種類の疾患が、急激に同時流行しています。そのため、お隣の台湾衛生局は『老人や幼児など免疫力が弱い人たちは中国大陸に行かないように』と、勧告しています。実際、中国の天津の小児医院では小学校のクラスごと入院し、点滴を受けたまま宿題をする光景が話題になっています。台湾でも、感染症の影響で次々と学級閉鎖が起きていますよ」
と語るのは、香港在住のジャーナリスト・角脇久志氏だ。流行する感染症のなかでも特に危険なのは、“謎の肺炎”こと、マイコプラズマ肺炎だ。
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「2023年11月22日に報じられた、国際感染症学会が管理する医学レポートによると『中国・北京などで、児童を中心に“神秘的な肺炎(未知の肺炎)”が発生している』そうです。マイコプラズマ肺炎だといわれていますが、詳細はわかりません。韓国では9歳の男の子が、この肺炎で亡くなりました」(同前)
この“謎の肺炎”には、“コロナ初期”の症状を思い起こさせる特徴がある。長尾クリニック名誉院長の長尾和宏医師は、こう警鐘を鳴らす。
「マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマという細菌によって感染する病気で、咳、発熱、全身倦怠、頭痛がおもな症状です。以前から知られている病気ですが『だから大丈夫だ』とは言い切れません。近年、治療に使用する抗生物質が効かない薬剤耐性菌が出てきていますし、そもそも中国での患者の死亡率といった詳細がわからない以上、楽観視できません。新型コロナの感染拡大初期も、『インフルエンザのようなもの』と評した医師が少なくありませんでした。結果的に、重症化した際の深刻な病状がわかったときには手遅れでした」
中国からの感染拡大が広がりつつある、台湾の診療所に勤める黄立(ホァンリー)医師も不安げだ。
「抗生物質は十分にあるので、パニックは起きていません。しかし、かつては6歳前後の子供の感染が多かった病気なのに、最近は成人の感染者数が増加しています。新型コロナのように、病原性が変化する可能性もゼロではないため、警戒が必要ですね」
さらに問題なのは、現在日本では、市中での流行の感染状況が“わからない”ことだ。
「受診抑制の影響です」
と話すのは、宇都宮市のインターパーク倉持呼吸器内科院長の倉持仁医師だ。
「そもそも、新型コロナが流行る前は、各地域の医師が患者の話を聞いて、それぞれの学校なり職場なりでの感染症の流行状況について把握できていたんです。保育園・幼稚園や学校の先生はそれをもとに、保護者にメールやSNSで知らせたりしていました。しかし、新型コロナの多くがオミクロン株に変わり、第五類に引き下げられてから、国も医学界も『わざわざ病院に来るな』という立場をとるようになりました。つまり、受診を抑制しようとしているんです。結果的に『体調が悪くても、ぎりぎりまで家で治そう』という、はるか昔の医療体制と同じになってしまいました。実際『よく薬なしで耐えられたな』という深刻な状態で、やっと来院される患者さんが増えました」
結果的に、医師の手が届かない感染症の“隠れ陽性者”が巷に溢れることになる。
「早く受診をして、検査と治療を受ける。これが医療の基本です。すでに日本でも各市町村で、インフルエンザや咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行警報が出ていますし、私もよく診ています。しかし、実際にはさらに多くの感染者がいるということでしょう」(同前)
本来であれば、基礎疾患がなければ、どの感染症も死に直結するものではない。しかし、日本人の免疫力があまりに低下していれば、話は別だ。前出の長尾医師が語る。
「つい最近、ニューモシスチス肺炎になった20代の男性を診ました。この病気はHIV感染など、免疫力が極端に低下した人がなりやすい病気です。その男性は、基礎疾患がないのに罹ってしまいました。マスクやアルコール消毒など、3年にわたるコロナ禍生活で、ウイルスや細菌に罹ることで手に入る“自然免疫”が減っているのでしょう。特に疲れやすく、肌が荒れるといった、基礎免疫力が落ちている方は、十分気をつけてほしいです。病気をはね返す力がなければ、どんな病気も命に関わりますからね」
異変を感じたら、遠慮せずに病院へ!
写真・共同通信