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被災地のペット問題「一時預かり」など対策進むなか“能登特有の人柄”で悲劇も 獣医師は「飼い主の健康が心配」

社会・政治 投稿日:2024.01.23 19:11FLASH編集部

被災地のペット問題「一時預かり」など対策進むなか“能登特有の人柄”で悲劇も 獣医師は「飼い主の健康が心配」

周囲の理解を得て、避難所でペットと過ごす被災者もいる(写真・共同通信)

 

 1月18日、石川県珠洲(すず)市で65歳男性の家の納屋が全焼しているのが見つかり、その焼け跡から男性の遺体が発見された。男性の自宅は1月1日の地震で倒壊したため、納屋で生活しており、近所の住人には「犬と猫がいるから避難所に行けない」と話していたという。

 

 能登半島地震被災地では、ペットの受け入れ可能な避難所が限られている。そのため、傾いた危険な家に留まったり、車中泊を続けたりしている飼い主も多い。

 

 

 このような事態に対応するため、石川県獣医師会では地震直後から、動物病院の情報などを発信。1月8日には「令和6年能登半島地震動物対策本部」を立ち上げた。15日からは、飼い主が生活再建に専念できるよう、ペットの一時預かりを始めている。

 

「これまで多くの問い合わせがあり、23日現在で予約を含めて120件ほどの預かりをおこなっています。預かり期間は原則30日で、預け先は動物病院。60あまりの施設に協力していただいています」(動物対策本部・事務局。以下同)

 

 ただ、問題もあるという。

 

「困っているのが、被災地からどこの避難所へ向かうのか、避難する方がバスに乗るまで分からないことです。金沢なら金沢の病院、小松なら小松と、避難する場所が早めにわかれば、そこから近い動物病院を探せるのですが……」

 

 また、能登特有の「人柄」の影響もあるという。

 

「能登は、遠慮がちな性質の方が多い土地なんです。人に迷惑をかけるのを嫌がる方がとても多い。なので、ペットも一緒で大丈夫ですよ、という避難所でも、気を遣って出入り口に近い、寒いところにいる方がいます。車中泊をされている人も多い。飼い主さんの健康が心配です。これからさらに寒くなりますし、ぜひ我々に相談していただきたい」

 

 21日には、犬猫用の移動診療車「ワンにゃん号」が、岩手県から金沢市に到着した。2011年の東日本大震災をきっかけに導入されたもので、車内にはレントゲンや超音波診断装置、血液検査機器などが装備されている。石川県獣医師会では、1月28日に輪島市で「ワンにゃん号」での動物診療活動をおこなう予定だ。

 

 自治体にも動きがある。石川県は21日、金沢市内の避難所に、ペットとともに避難している人が無料で利用できるトレーラーハウスを設置。ペットフードや衛生用品も自由に使うことができ、ゲージも用意されている。石川県では1月中に、さらにトレーラーハウスを設置し、50匹のペットが飼い主とともに避難できる環境を整えるとしている。

 

 岸田文雄首相は1月22日、自身のXを更新。

 

《被災者の皆様にとっても家族の一員であるペットの対応も重要です。これまでペットフード等を被災地に届けるなどの支援をしてきました。先日からは石川県獣医師会の協力による動物病院等でのペットの一時預かりや、石川県による1.5次避難所へのペット同伴専用のトレーラーハウス設置が行われています》

 

 そう呼びかけるこの投稿には、石川県獣医師会によるペット一時預かりの告知画面が添付されている。

 

 被災したのは、人間だけではないのだ――。

( SmartFLASH )

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