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万博協会、りそな銀行から360億円借入れ…入場券の販売伸びぬ中の「皮算用」にあ然

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.02.01 15:04 最終更新日:2024.02.01 15:16

万博協会、りそな銀行から360億円借入れ…入場券の販売伸びぬ中の「皮算用」にあ然

2023年11月時点での建設現場(写真・時事通信)

 

 高市早苗経済安全保障相が岸田文雄首相に「被災地の復興に影響が絶対出ないようにしてほしい。能登半島地震の復興を優先するため2025年大阪・関西万博の延期を進言した」と語ったことが報じられるなど、閣僚からも万博開催を疑問視する声が出てきている。

 

 

 そんななか、万博の運営主体である日本国際博覧会協会が「りそな銀行」から最大360億円を借入れることが報道された。

 

「借入れは広告宣伝費や警備費、人件費などの運営費にあてられます。運営費は入場券の販売収入で賄いますが、当初計画から4割増えた1160億円を予算計上する予定です。しかも入場券が売れるまで収入がありませんから、それまでの『つなぎ』の借入れになります」(ジャーナリスト)

 

 これまでも万博は会場建設費を2018年は約1250億円、2020年には1850億円、2023年10月には最大2350億円と後出しジャンケンのように増額を発表してきた。

 

 また、350億円の建設費が見込まれている木造リング「大屋根」も関係者の間では「429億円になるのではないか」と指摘されていることもわかり国民をあ然とさせた。そしていつの間にか「運営費」もアップしていたのである。

 

 しかもこの運営費は入場券の販売収入で返済をするということなので、現段階では「捕らぬ狸の皮算用」で借りたことになる。そして入場券の販売実績が伸びていない。2月1日の日本経済新聞は「入場券は計2300万枚の販売を目標に掲げるが、1月24日時点で前売り券販売は41万9784枚にとどまる」と報じている。

 

「このまま入場券販売数が伸びず、万博そのものが赤字になったときは最悪です。国も自治体も協会も、赤字補填の方法を決めていないのです。

 

 これまで協会の石毛博行事務総長が『理事会の中でしっかり議論して、国、大阪府市など関係者とよく協議しながら決定されるもの』といえば 、経産相だった西村康稔衆院議員は『事業実施主体の博覧会協会が業務執行責任を負うのは大前提。国として(赤字を)補てんすることは考えていない』と言い、大阪府の吉村洋文知事に至っては「(万博は)国主催の事業で国が『赤字を補填しない』と言っている運営費を、大阪府・市が負担するのは明らかにおかしい」と、それぞれがなすり合いをしています」(週刊誌記者)

 

 京都大学大学院教授の藤井聡氏は2月1日放送のラジオ番組「おはよう寺ちゃん」(文化放送)で「360億円借りますけど返せないですよ。とりあえず収入で返すでしょうけど、そしたら万博協会が赤字になるでしょ? 絶対増税されますよ。あるいは緊縮されますね。公的な税金でやるしかしょうがないですよ」と語っている。

 

 ちなみに、2023年11月14日の大阪市議会の万博推進特別委員会で、万博が赤字になったときの「大阪市民1人あたりの負担額」について質問があった。

 

 これに大阪府市の万博推進局担当者は「大阪市の負担は2350億円の6分の1、約392億円。市の推計人口約277万人で割ると、1人当たり約1万4000円。大阪市民は府民でもあり、国民でもあることから、府民負担の約4000円、国民負担の約600円が加わり、約1万9000円になる」と答弁している。ため息が出る金額である……。

( SmartFLASH )

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