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川勝知事、突然の辞意表明でリニア一歩前進…工事止まった「8.9kmの土地」は一企業の持ち物だった!

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.04.03 16:27 最終更新日:2024.04.03 17:22

川勝知事、突然の辞意表明でリニア一歩前進…工事止まった「8.9kmの土地」は一企業の持ち物だった!

リニア静岡工区を視察する川勝知事(2019年、写真・時事通信)

 

 4月2日、静岡県川勝平太知事が6月議会をもって辞任すると表明した。前日におこなわれた新入職員入庁式の訓示で、知事が「野菜を売ったり、牛の世話をしたり、あるいはモノを作ったりすることと違って、基本的にみなさま方は頭脳・知性の高い方たちです」との不適切発言をしており、その責任を取ったかたちだ。

 

「県庁内でも『次の知事は工事に向けて動き出すのではないか』と囁き合っています。ここ数年、川勝知事は意固地とも見える態度でJRと向き合ってきましたから」(県政関係者)

 

 

 話し合いは膠着し、3月29日には、JR東海の丹羽俊介社長が、リニア中央新幹線の品川・名古屋間の開業延期を正式に発表。背景には、川勝知事が、リニア工事にともなう南アルプスの生態系や大井川の水資源などへの影響を危惧して工事の着工を認めてこなかったことがある。

 

「工事契約の締結から6年4カ月が経過しても、静岡工区についてはトンネル掘削工事に着手できていません。この工事は10年かかるとされていますから、仮に2024年から工事が始まったとしても、2034年以降の開業になる見通しです」(同)

 

 工事が止まったままの静岡工区は、およそ8.9km。実は、この工区はすべて1つの会社の持ち物なのだ。

 

「特種東海製紙グループの『十山(じゅうざん)』という会社です。同社は、リニアの『南アルプストンネル(静岡市葵区)』の工事現場一帯を含む、2万4430ヘクタールの土地(東京ドーム5200個分)を所有している、いわば『大地主』です。

 

 もともとは東海パルプという会社で、これは大成建設、ホテルオークラなどの元になった大倉財閥のグループ企業です。豊かで広大な森を利用して、木材生産、製紙、電源開発、観光などで社業を発展させ、近年は湧水を活用したウイスキー事業なども進めています」(経済担当記者)

 

 同社は、県を窓口として、JR東海と「環境保全」「地域振興」「山林維持」を前提とする基本協定を締結。「利水者の合意があるまではトンネル掘削を認めない」などを付帯して工事を受け入れる姿勢だったが、川勝知事が工事にストップをかけた経緯がある。

 

 2020年8月4日、中日新聞社のインタビューで、鈴木康平社長(当時)は、県とJR東海の協議が難航する現状を「利水者は置いてけぼりで、政治問題に置き換わってしまった。科学的な議論を進めてほしい」「水は当然大事だが、あまりにも正論過ぎて、落としどころが見つからないのでは」などと語っている。

 

 そして突然の川勝知事の辞意表明。同社の広報担当は「(辞意が)昨日の今日で、まだ(事態が)動いておりませんからコメントはございません」と戸惑いを隠さない。

 

 SNSでは、リニアの開業延期に「川勝知事に賠償請求しろ」など過激な書き込みも目立ったが、どうやら新たなステージに移りそうだ。

( SmartFLASH )

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