政治資金規正法違反をめぐり、自民党執行部が安倍派幹部らに4月4日午後、党紀委員会で正式に処分を下す。
ところが3日昼すぎ、「FNNプライムオンライン」は、「離党勧告」の処分方針が決まった塩谷立(しおのや・りゅう)氏と「1年間の党員資格停止」の方針が決まった下村博文氏の2人が、処分を不服として弁明書を提出する、と報じた。さらに別の安倍派幹部が「訴訟も辞さない」と反発しているとも報じた。
「現在、安倍派を中心に、岸田文雄首相への反発がかなり強まっており、当日は大荒れになる可能性もあります。とはいえ、党執行部は粛々と処分を下す以外に道はない。国民からの反発を考えると、何らかの厳しいけじめは必要不可欠です」(政治担当記者)
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党内のゴタゴタが収まるかどうかはともかく、4月28日には衆院補選(東京15区、島根1区、長崎3区。4月16日告示)が目前に迫っている。
「とくに、島根1区の結果が岸田政権の運命を決めるとみられています。自民党は東京、長崎で独自候補を見送りました。東京15区は都民ファーストが乙武洋匡(ひろただ)氏を擁立し、自民党はそれに乗っかる形で推薦を決めました。公明党は、乙武氏の過去の不倫を問題視し、現時点では推薦を渋っています。おそらく創価学会婦人部からの抗議があったのではないかと見ています。が、今後の自公協力体制を考えた場合、最終的には公明も乗る可能性があります。
ただし、ここで乙武氏が勝ったとしても、自民党の勝利とはいえず、衆院補選は実質的には2つの“不戦敗”ですので、何としてでも島根1区は勝たないと、今度こそ岸田おろしが始まることになります」(同前)
その注目の選挙区は、自民党は元財務官僚の新人・錦織功政(にしこり・のりまさ)氏を擁立。立憲民主党は前衆院議員の亀井亜紀子氏を立て、共産党が独自候補を見送ったため、自民vs.野党系の一騎打ちとなる。3月、錦織候補のもとを訪ねた元自民党関係者が言う。
「本人は『相当厳しい戦いになる』と話していました。本来なら、元清和会(安倍派)会長の細田博之前衆院議長の弔い選挙になるのですが、士気の高まりがイマイチという感じでしたね。保守王国といわれる島根ですが、今回ばかりは逆風が半端ではないようです。前回、2021年の選挙では、細田さんが9万638票で得票率が61.0%、亀井氏は6万6847票で得票率が41.3%とかなり差をつけましたが、はたしてどうなるのか。情勢調査がまだ出ていないため、まったく読めないですね。有力な応援弁士が来てくれるといいのですが……」
安倍派を中心に政治資金を巡る裏金問題に関わった自民党幹部らは、島根1区の応援に入れないと予想される。元安倍派秘書が言う。
「それはそうだよ。逆効果になってしまう。国民人気の高い石破茂元地方創生相は、岸田政権のためにひと肌脱ぐと以前から話していたし、自分の選挙区(鳥取1区)はお隣だから、応援に入るだろう。小渕優子氏も選対委員長だし、当然、行く。問題は小泉進次郎元環境相が島根に入ってくれるかどうか。永田町では党幹部から『まだ実力不足』と判断されているけど、地方へ行けば、大人気になるのは間違いない。
それともうひとり、小池百合子都知事だよ。対抗馬が女性だし、小池知事の応援で、ぜひ女性票を増やさなきゃならない」
島根1区の勝敗のカギを握るのは、小泉進次郎氏と小池百合子氏になりそうなのだ。
自民党都連関係者は「小池知事は、応援に入ってくれるかもしれない」とし、こう続ける。
「じつは、7月の都知事選に小池さんが3選めの出馬をした場合は、『自民党は対立候補を立てない』という密約がある、と前々からささやかれています。もしそうならば、東京15区でも共闘するわけですし、小池さんに島根に入ってもらうことくらいはできるのではないでしょうか。非主流派とはいえ、小泉進次郎さんにもひと肌脱いでいただきたいものです。この2人が頼みの綱です」
政治担当記者が言う。
「島根を落とせば、岸田政権の寿命は6月の会期末で終わり、解散できないまま内閣総辞職に追い込まれるという見立ても出始めている」
“運命の日”は、すぐそこに迫っている。
( SmartFLASH )