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「職業差別発言」川勝氏辞任の静岡知事選、2候補が熱くなる争点はリニアよりも小さな「フィールド」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.04.16 20:30 最終更新日:2024.04.16 20:30
「職業差別発言」をはじめ、さまざまな“お騒がせ”を起こしてきた、川勝平太知事の辞任による静岡県知事選(5月9日告示、26日投開票)が、注目を集めている。
連合静岡が推薦予定の前浜松市長・鈴木康友氏(66)と、川勝知事時代に副知事を務めた元総務官僚の大村慎一氏(60)との一騎打ちになりそうなのだ。
自民党が4月13日から14日にかけておこなった世論調査の情報が早くも出回っており、それによると、有権者の支持は鈴木氏40%に対し大村氏が29%と、11ポイントの差がついている。
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一見すると、鈴木氏がかなり優勢に見える。だが、実情は異なるらしい。自民党静岡県連関係者は興奮気味にこう語る。
「連合静岡と国民民主党は、17日に鈴木氏の推薦を決定するそうです。浜松市長を4期務めた鈴木氏と比べれば、大村さんの知名度はまだまだ低い。ただ、自民党県連やJAの推薦がまだない状態で、この数字なので、十分に追い上げ可能です。
我が県連は18日に推薦者の方向性を決め、22日に最終決定する予定です。我々とJAは大村さんを推薦することになると思います。これから各種団体などの支援を得られれば、逆転の可能性は十分にあります。野党系の鈴木氏vs.与党系の大村さんという図式です。分かりやすく言うと、鈴木氏陣営には、川勝知事を支援してきたいわゆる“川勝応援団”がついており、実質的には川勝県政の後継者といえます。大村さんは“反川勝”というわけです。与野党一騎打ちの壮絶な戦いになりますよ」
川勝知事時代に副知事だった大村氏が「反川勝」とは、いったい、どういうことなのか。地元記者が解説する。
「大村氏は2009年に、総務省から静岡県に出向し、総務部長を務めていましたが、2010年1月、川勝知事が大村氏を副知事に就任させました。そして、川勝知事の側近として、重要な案件の調整役として知事を支えていたのです。ところが2011年12月に突然、大村副知事の退任が発表されました。役人の異動は通常、年度末か夏と決まっています。なので、2人の間で確執があったのではないかとささやかれました。大村氏は同年12月末で退任して総務省へ戻り、いわば、川勝知事に追い出された格好となったのです」
大村氏の心境を、同県連関係者はこう代弁する。
「大村さんは表立っては言いませんが、川勝知事に静岡県庁から追い出され、悔しい思いをしています。ただ、川勝知事の続く間は、自身が選挙に出て戦うと因縁をつけることになるので、出馬をためらっていたんだと思います。今回、大村さんは川勝知事が辞めたから、出ることにした。大村さんは、川勝知事の後継である鈴木氏に対し、『俺が絶対倒してやる』という思いを持っているはずです」
一方の鈴木氏について、前出の記者が言う。
「鈴木氏については、川勝さんの応援団と連合、国民民主、そして立憲も応援するかもしれないですね。鈴木氏は自動車メーカー・スズキの鈴木修相談役が全面的に応援し、浜松市長になった人。5期めの浜松市長を目指していましたが、鈴木相談役に止められ、2023年4月の市長選には立候補せず、断念しました。が、川勝知事が出ないということで、知事選に出ることになったのです」
川勝知事は現職時代、水問題や環境問題をあげて、リニア中央新幹線の静岡工区で、トンネル掘削工事の着工を認めてこなかった。そのためJR東海は3月、品川~名古屋間の2027年開業の断念を発表した。しかし、今回の2人の候補者は、ともにリニア推進を表明している。前出の同県連関係者もこう語る。
「今回、リニアは争点にならないと思います。争点になるのは、県営の新野球場建設問題です。そもそもは2014年ごろ、川勝知事が『プロ野球チームを誘致できるくらいの、3万人規模の県営野球場があってもいいじゃないか』と提案して始まったこと。私たちは、そこまで大規模な野球場は必要ない、という慎重な立場です。一方、野球場ができる浜松市の市長だった鈴木氏や地元経済界は、プロ野球が開催可能な施設を要望しています。
ただし、建設予定地は遠州灘海岸の、アカウミガメが上陸する地域なので、屋外型のナイター設備があると、照明でウミガメへの影響が生じるのではないかといわれ、また風が強いから、そもそも野球場としてはよくない場所ではないかという反対意見も出ました。だったら、ドーム球場にすればいいじゃないかという声が出て、いまはドーム型のほか、2つのスタジアム型の案が出ています。ちなみに事業費の概算は、ドーム型がもっとも高く370億円、ほかの2つは100億円程度です。
鈴木氏はドームに賛成していますが、それに対し、大村さんは県民の意見を聞き、お金をできるだけかけないような野球場を作ると主張しています」
争点が県営の新野球場建設問題とは、リニアに比べればスケールが小さい気もするが、地元がますます熱を帯びてきているのは間違いない。
( SmartFLASH )