「非戦闘員退避活動(NEO)訓練を今月23日から27日まで実施する」
10月12日、アメリカ軍機関紙「スターズ・アンド・ストライプス」がこう報じた。NEO訓練とは、北朝鮮からの攻撃などに備え、在韓米軍がおこなう在韓米国人の避難訓練。内容は実戦さながらだ。
「米軍関係者の家族や、米国市民権保持者、永住権保持者を含め、韓国には20万人以上の米国人が居住しています。彼らをソウルの龍山基地など韓国全土に18カ所ある集結所に集めて安全に国外に退避させられるようにすることが訓練の目的です」(「コリア・レポ ート」編集長・辺真一氏)
2017年6月の訓練には、過去最高となる約1万7000人が参加。100人以上の在韓米国人が、横田基地や沖縄の米軍基地にやってきた。
だが、いざ本当に有事となれば、在韓米国人全員が、日本に一気に逃げてくるのだ。
米朝の緊張は最高潮に達している。10月16日から20日まで実施された米韓合同海上演習に対し、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は10月19日、「緊張局面を最悪の爆発限界線へと追い込んでいる」と威嚇したのだ。
「今回の退避訓練を在韓米軍は『通常の訓練の一環』と説明していますが、当然、米朝開戦を想定しているでしょう。“訓練” がいきなり “本番” になる可能性があるんです」(辺氏)
退避命令が発令されると在韓米国人は、荷造り、集結所での身元登録、航空機や鉄道でソウルから南方への移動、国外脱出という手順で退避が実施される。集結所では、行動マニュアルや行政手続きについての説明を受ける。
「マニュアルには、避難時の持ち物について示されています。十分な食料と飲み物(最低三日分)や医薬品、子供用の玩具類などが推奨されています」(ジャーナリスト・太刀川正樹氏)
ほかにも、タオル類、マスク、携行ラジオ、乾電池、 200ドル前後の現金、女性の生理用品……など具体的だ。所持品は一人あたり27キログラム以内にまとめなければならない。
集結所バーコードが入った身元確認用のブレスレットが着けられたあと、保安検査の手続きをおこなう。準備が整えば、国外脱出となる。
「韓国が攻撃を受ければ、仁川空港など民間空港は閉鎖されます。軍人の家族は軍用機、一般の在韓米国人は船舶を使い避難します。攻撃を受けた後、72時間以内に、在日米軍基地に避難させる計画になっています」(太刀川氏)
翻ってわが日本。韓国には旅行者を含めて約6万人もの日本人が滞在している。有事の際、彼らは保護されるのか。
「20万人の米国人が退避するとき、米軍に日本人を保護する余裕はない。自衛隊が向かうしかありませんが、韓国で活動するには韓国政府の同意が必要です。しかし、歴史的な背景から簡単には受け入れられないでしょう」(辺氏)
日本人だけが残される……。Xデーは迫っている。
(週刊FLASH 2017年11月7日号)