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プーチン大統領「ショイグ国防相更迭」を読み解く…「ロシアは中国の属国に!」中村逸郎教授が語る“悲しき独裁者”の今

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.05.30 06:00 最終更新日:2024.05.30 06:00

プーチン大統領「ショイグ国防相更迭」を読み解く…「ロシアは中国の属国に!」中村逸郎教授が語る“悲しき独裁者”の今

プーチン、習近平(写真:共同通信)

 

「歴史的に最高水準」

 

 新華社通信は、現在の中ロ関係をこう表現した。今月16日、ロシアプーチン大統領中国を訪問し、習近平国家主席との会談に臨んだ。同社によれば、プーチンは習近平とお茶をし、「共通の懸案問題について突っ込んだ対話」をしたという。この和やかな雰囲気が冒頭の表現に繋がるのだろうが、実情はそれほど穏やかではなさそうだ。

 

 

「プーチンは内心、相当焦っていると思いますよ」

 

 こう話すのは、筑波大学名誉教授の中村逸郎氏だ。

 

 プーチンは3月、大統領に再選し、今月14日には内閣を改造した。彼が習主席と会談したのはそのわずか2日後のことだ。中村氏によれば、この内閣改造に、プーチンの焦りが見て取れるという。

 

「目玉は、ショイグ国防相の交代です。ウクライナに軍事侵攻している最中にこのポストを変えること自体が、プーチンにとって相当のリスクです。しかも、後任となったベロウソフ氏は、軍事についてはド素人。兵士たちからは相当な反発があるといいます」

 

 中村氏によれば、今年2月発表の推計では、2900台ものロシア軍戦車が破壊されたといい、軍事技術開発の専門家も5万人不足しているのが、ロシアの現状だという。そんな窮地に、なぜプーチンはこの人事をおこなったのか。

 

「ベロウソフ氏は経済の専門家で、中国が進める巨大経済圏構想『一帯一路』に明るい。つまりこの人事は、中国にすり寄る姿勢を見せるためということです。ロシアは、今年末には砲弾が尽きてしまうのではないかといわれるほどの窮状に追い込まれています。プーチンとしては、 “盟友” ともいわれる習近平に頼らざるを得ないわけです」(同前)

 

 拓殖大学海外事情研究所客員教授の名越健郎氏も「ロシアの経済事情は西側の制裁が実際には効いている」と語る。

 

「欧米が逃げ、日本や韓国の自動車関係も撤退した今、ロシアでは中国製の自動車が一人勝ちになった。中国はロシア市場を完全に取り込む意識が非常に強い。明らかに、中国のほうが立場が強くなっているんです」

 

 先の中ロ首脳会談で、プーチンは習近平に軍事支援を願い出たとの見方もある。

 

「ロシアと中国との貿易の決済は、95%が人民元です。中国経済に飲み込まれることは、プーチンも覚悟しているでしょう。そのうえ、国防相を一帯一路の専門家にした。そこまですり寄ったからには軍事支援をしてくれ、というのがプーチンの腹の内でしょう。ロシアは完全に、中国の属国です」(中村氏)

 

 妥協に妥協を重ねたというプーチンだが、逆に “見せしめ” もしているというのが、中村氏の見立てだ。中ロ首脳会談に前後して、2人の要人を悲劇が襲った。1人は、スロバキアのフィツォ首相の銃撃事件(5月15日)だ。

 

「この事件を私は、プーチンから習近平への “警告” だと思っています。フィツォ首相ですが、彼はもともと親ロシア派だといわれていました。ところが4月中旬あたりから『欧米と一緒になってウクライナを軍事支援しなければいけない』と方向転換をしたのです。これまでもプーチンは “見せしめ” 的なことをおこなってきました。訪中の直前にこうした動きを見せたことは、『ロシアを裏切ったらどうなるか』というアピールに思えます」(同前)

 

 もう1人は、イランのライシ大統領の乗ったヘリコプターの墜落(19日)だ。

 

「この事故の報道は、日本よりロシアのほうが6時間ほども早かった。最初に哀悼の意を示したのもプーチンです。『墜落したヘリをプーチンが追跡していた』という情報が飛び交っていますが、私はほぼ間違いないと思います」(同前)

 

 属国になり果ててもなお、衰えぬプーチンの牙。侵攻終息まで、心休まる日は来ないのか。

 

写真・共同通信

( 週刊FLASH 2024年6月11日号 )

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