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都知事選「ほぼ全裸ポスター」騒動に選挙管理委員会は「公選法上は問題なし」事前審査ができないワケ
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.06.21 19:45 最終更新日:2024.06.21 19:45
6月20日、告示日を迎えた東京都知事選挙(7月7日投開票)は、初日から「ポスター」が物議を醸している。
現職の小池百合子都知事、蓮舫氏、石丸伸二氏ら告示前から注目を集めていた候補のほかにも多くの候補者が名を連ね、立候補者は過去最多の56人となっている。
それだけの人数のポスターを掲示板に張ることができないという問題も起きたが、なかでも多くの批判を浴びたのは、元埼玉・草加市議の河合悠祐候補が掲示した“ほぼ全裸”の女性の写真が印刷されたポスターだった。
ポスターには、モデルの桜井MIUの写真が使われ、局部などを河合候補の写真で隠すだけなど、かなり肌の露出度が高いものになっている。
これには、「2ちゃんねる」開設者で実業家のひろゆき氏も、Xで苦言を呈していた。
《「子供が見る」という視点が全くないのか、頭が悪いのか、どちらなのでしょうか? これが合法なんて世も末ですね》
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X上でも、今回の騒動を受けて、選挙ポスターの掲示ルールに疑問の声が多数上がっている。
《選挙のポスターって校閲・検閲みたいなのないんですね…》
《しかもこれ剥がしたら捕まるんでしょ?》
《これが合法なのは、法律に不備がある》
また、こうした有権者の苦情が公的機関にも殺到したとみられ、警視庁は東京都迷惑防止条例違反の疑いで、河合候補者に警告。21日までに、同陣営はポスターを自主的に剥がしたとされている。
今回の都知事選を管理する東京都選挙管理委員会の担当者はこう話す。
「現物を直接確認していませんが、大きさが規定の範囲で作られていて、掲示責任者と印刷責任者の氏名、住所など必要事項が記載されていれば、公職選挙法(公選法)上は問題ありません。
迷惑防止条例違反の対象になるものや、公序良俗に反するものヘイトスピーチ的など、公選法以外の法律に抵触するものだと、そちらの取り締まりを受けます。
(今回の警告は)警視庁に市民から通報があって動いたと思います。警視庁が動くとき、選管とはあまり連携を取りません。今回も警視庁からは正式な相談は受けてないと思います」
つまりは“後出し取り締まり”しかできないというわけだ。
選挙においては“7つ道具”と呼ばれるように、演説時の腕章、選挙カーの表示物、選挙事務所の表札などは、公選法に基づいて選挙管理委員会から無料で交付されるものを使うことになる。さらに、選挙運動用ビラは最大30万枚交付される「証紙」が貼付されたものを使用するため、見本の届出が必要となっている。
だが、選挙ポスターは……。
「選挙ポスターについては審査はありません。記載する内容についても、公選法上では規定がありません。なので、まったく関係のない内容に見えても、候補者が『これが我々の訴えだ』ということであれば、その他の法律に触れる内容でない限りは自由ということです。
1カ所につき1枚という規制はありますが、ポスターの種類についても、何種類作ったとしても規制はありません。
エリアごとに内容を変えたポスターを掲示する候補者もいます。そのため、ポスターを事前にチェックしたりすることはありません。
制度上の変更のためには、国会で法改正を審議、議論してもらう必要があります」(前出・選管担当者)
皮肉にも国会では政治資金の問題が追及されていたが、資金をかけずに誰もが公平な選挙に立候補できるようにするには、どうすればいいものか――。
( SmartFLASH )