2024年7月15日、米中西部ウィスコンシン州で開催された共和党全国大会に登場したトランプ前大統領。13日に銃撃されて負傷した右耳に大きなガーゼを貼った姿で登場し、集まった支持者から大歓声を浴びた。
トランプ氏の恐ろしいほどの強運ぶりを象徴するこの右耳の傷だが、商魂たくましい中国人にとっては “商機” と映るよう──。
7月14日、中国のインターネット検索大手「百度(バイドゥ)」に、ある写真が投稿された。そこに写っていたのは、誰もが知る3人の人物の肖像写真。それらをリングでつなげ、3連のキーホルダーとしたものだ。だが、このキーホルダーの意味に気づくと、あまりの不謹慎さに顔をしかめる人が続出することだろう。
「キーホルダーには、安倍晋三元首相、ジョン・F・ケネディ元アメリカ大統領、そしてトランプ前大統領がデザインされています。3人の共通点は狙撃されたこと。
安倍さんは2022年に、ケネディ氏は1963年に凶弾に倒れました。しかも、キーリングが開けられた場所をよく見てください。安倍さんは左上腕部、ケネディ氏は右頭部、トランプ氏は右耳。つまり、銃弾を受けた箇所に穴を開け、キーホルダーとして加工しているんです」
こう解説するのは、中華圏に詳しいジャーナリスト・角脇久志氏だ。
「投稿に添えた『義鳥(の業者)は本当に仕事が早いな』というコメントですが、これは中国最大規模の卸売市場がある中国・義鳥市で作られたことを示していると思われます。
義鳥には卸売り業者や製造工場が集まり、グッズやTシャツなどあらゆるものが製造販売されています。日本の100均グッズもほぼここで製造されているのですが、業者に関して調査したものの、特定するまでには至りませんでした」(角脇氏)
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では、この悪趣味きわまる商品はどの程度流通しているのだろうか。
「中国の大手3大ネット通販の天猫、タオバオ、京東などを検索しましたが、ヒットせず。もうひとつのネット通販大手、拼多多(ピンドウドウ)には、このキーホルダーを販売している業者がありました。値段は7.2元(157円)。
このサイトでは『39個売れた』と書いてあります。画像の写真には自主規制のためか、安倍さん、ケネディ氏、トランプ氏ともにモザイクが入っていましたが、見る人が見ればすぐにわかるものですね。
ただ、7月16日午前11時半の時点ではまだネットにアップされていましたが、12時半に見ると売り切れと表示され、画像も削除されていました。
また、トランプ氏単独のデザインで、狙撃された耳の部分に穴を開けたキーホルダーも19.8元(432円)で販売されていましたが、こちらも7月16日の12時半には『売り切れ』となり、画像も削除されていました」(角脇氏)
キーホルダー写真を紹介した「百度」の投稿には、以下のような信じられないコメントがついていた(※編集部訳)。
《これぐらいできるから、儲けられるんだな》
《中国には才能あるやつが多いな》
また、中国のSNS「微博」にも、キーホルダーに言及した投稿がいくつか見られたので抜粋する(※編集部訳)。
《穴の大きさは、それぞれの暗殺事件に合わせて正確に作られているね》
《本当にブラックユーモアだね》
一方、日本ではこのキーホルダーを紹介した投稿に対し、あきらめ混じりのコメントが寄せられた。
《これがネタ的に面白いと思えちゃう(拡散される)国民性にため息ついてたところでした》
《不謹慎過ぎっすね・・・》
「トランプ氏暗殺未遂直後、中国のネット上では彼が右拳を突き上げた瞬間の姿を撮った写真のTシャツが販売されましたが、現在、大手3大ネット通販では、そのTシャツはすでにヒットしません。
大手通販が自主規制をかけ、業者に警告するなどして、販売を停止させた可能性が高いのでは。この3連キーホルダーが同様に販売停止に追い込まれるのも、時間の問題でしょう」(角脇氏)
アメリカ憎しの中国政府といえど、良識を発揮して取り締まってくれると信じたい――。
( SmartFLASH )