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「釣り仲間だった」兵庫県知事のパワハラ告発をしたX氏と“側近4人組”の奇妙な関係…公開を嫌がった“私的文書”の存在

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.07.19 16:43 最終更新日:2024.07.19 21:12

「釣り仲間だった」兵庫県知事のパワハラ告発をしたX氏と“側近4人組”の奇妙な関係…公開を嫌がった“私的文書”の存在

“7つの疑惑”が浮上している斎藤知事(写真・時事通信)

 

「片山安孝副知事は“バカ殿”に仕える腹黒の家老。県政で一番、好き勝手にやっていた人です。退任後は日本維新の会の兵庫県連の役職に就く予定だったとされ、その当てが外れそうなので辞職会見で泣いたんだろうというのが庁内でもっぱらの噂です」

 

 と、げんなりとした表情で明かすのは兵庫県庁の中堅職員だ。

 

 職員へのパワハラ、贈答品の不当な受け取りなど多くの疑惑が噴出した兵庫県の斎藤元彦知事。騒動の発端は、3月12日に一部のメディアと県議に送られた告発文書だった。

 

 

「告発文書のなかには、“7つの疑惑”が列挙されていました。たとえば、『斎藤知事が当選した2021年の知事選で側近が事前運動まがいの活動をし、さらに彼らはその論功行賞で昇進した』『斎藤知事の自宅には視察などでもらった贈答品が山のように積まれている』『職員に対して理不尽な叱責をしていた』といった内容です」(全国紙記者)

 

 ところが、4月2日に開いた会見で、斎藤知事は同文書は「嘘八百」と強弁。そして、文書を作成した人物を懲戒処分にした。

 

「作成者はすぐに西播磨県民局長のX氏だとわかり、3月25日に副知事と県人事課長がX氏のパソコンを押収しました。加えて、斎藤知事は弁護士を入れて独自調査するとし、第三者委員会の設置を拒否しました」(同前)

 

 斎藤知事による強引な火消しで、X氏の告発が闇に葬り去られるーー。しかし、すんでのところで「読売新聞」(4月16日付)のスクープが報じられた。

 

「『読売新聞』は、X氏が文書で告発した『知事へのコーヒーメーカーの贈答』がおこなわれていたと報じました。県職員の内規では、業務に関連する贈答品の受け取りは禁じられています。県内の製造業者からコーヒーメーカーを受け取った県の産業労働部長は事実を認め、その後訓告処分を受けました。これで一気に風向きが代わり、『X氏の告発はすべて真実なのではないか』と考える関係者が増えたのです」(同前)

 

 真相を解明するために、兵庫県議会は最大派閥の自民党を中心に「百条委員会」の設置を求めた。百条委では、虚偽答弁や答弁拒否をした場合に罰則を科せられる。だが、こうして追い詰められた知事サイドは、X氏への“圧力”を強めた。

 

「7月18日発売の『週刊文春』は、県庁内でX氏が追い詰められていく過程を報じています。そもそも、片山安孝副知事、総務部長、産業労働部長、若者・Z世代応援等調整担当理事の4人は、東日本大震災関連の業務で仲を深め斎藤知事に取り入ったことから『牛タン倶楽部』と陰口を叩かれていたそうです。そして、X氏の件が明るみになると、彼らはX氏のPCから発見した“私的文書”を庁内で持ち歩き、県議や職員に見せて回っていたのです。X氏は自身の“私的文書”が公開されるのを恐れ、弁護士を通じて委員会での非公開の要望書を出していました」

 

 ところが、X氏は結局7月7日に姫路市内の親族宅で自ら命を絶った。X氏を追い詰めた“私的文書”とは何だったのか。県の幹部はこう語る。

 

「この文書を公開されるのをX氏が嫌がられた理由はよくわかります。県庁内では、すでにこの文書を目にした職員が多くいますが、X氏はとても慕われていたので、誰もこの文章を公開することはないと思います。『牛タン倶楽部』の4人組がこの文章の公表を画策し、X氏を追い詰めたのは間違いありません」

 

 では、「牛タン倶楽部」4人組当人はどう答えるのか。本誌が、騒動の発端となったコーヒーメーカーを受け取った産業労働部長に尋ねると、「たしかに、コーヒーメーカーは知事用にもらいました」と認めたものの、「返却するつもりだった」と釈明する。そして経緯をこう語った。

 

「宛先は私にしましたが、庁内ならどこでもよかったのです。ただ、決して知事が欲しいといったわけではなく、私が先走って先方に話をしてしまい、受け取ることになってしまいました。返却しようとしたのですが遅れてしまい、処分を受けました。それだけです」

 

 そして亡くなったX氏についてはこう語るのだ。

 

「X氏とは人事課の先輩後輩です。もちろん副知事もそうです。釣りに行ったり、釣った魚で作った手料理をごちそうになったこともあります。X氏がどうして告発文書を作成したのか、私にはわかりません」

 

 さらに4人組のもう一人、総務部長も、本誌の取材にこう語る。

 

「入庁して最初の上司が、当時係長だったX氏です。当時は、仕事終わりに飲みにいったり、釣り旅行に行ったりしました。キャンプラーメンをつつき合って、一晩中、語り合ったこともありました。いい思い出ですね。ただ、部署が変わると、新しい人間関係ができる。疎遠になることもありますよ。私が側近のように見えるというのは、知事と近い部署だから、というだけでしょう」

 

 2人の証言を元にすれば、「牛タン倶楽部」の4人組はX氏と昵懇の仲だったというわけだ。なぜX氏は反旗を翻すことになったのか。

 

「X氏は、副知事をはじめ、斎藤知事におもねって県政を歪める幹部らのことが許せなかったのではないでしょうか。実際、現場レベルではX氏のほうが慕われていましたからね。斎藤知事が辞職するまで、この問題は続くでしょう。産業労働部長はコーヒーメーカーを倉庫にしまっていたと語っていますが、贈答を受けたコーヒーメーカーとそっくりなものを知事室で目撃したと一部の職員が話しています。X氏の告発が闇に消えていいはずがありませんよ」(県職員)

 

 少なくとも、県民が納得するはずはない。

( SmartFLASH )

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