社会・政治社会・政治

【パリ五輪】「テロでしょ!」とSNS騒然、フランス高速鉄道で「破壊行為」発生…当局が「テロ」と呼ばない“裏事情”

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.07.26 20:30 最終更新日:2024.07.26 20:30

【パリ五輪】「テロでしょ!」とSNS騒然、フランス高速鉄道で「破壊行為」発生…当局が「テロ」と呼ばない“裏事情”

TGV利用者でごった返すパリ・モンパルナス駅(2024年5月)(写真・Jumeau Alexis/ABACA/共同通信イメージズ)

 

 7月26日(日本時間)、パリ五輪の開会式が実施されるフランスの高速鉄道・TGVの3路線で「破壊行為」があり、火災が発生したと各紙で報じられた。

 

「一連の行為は現地時間25日の夜間におこなわれ、ケーブルを切断するなど意図的に交通網の麻痺を狙ったものだとされています。実際、朝からTGVが運休した影響で、約80万人に影響が出るとされています。現地時間26日の夜には、パリで五輪の開会式が実施される予定ですので、五輪を狙ったものだったのか、関連が疑われています」(本誌現地記者)

 

 実施、Xでは、テロの可能性を指摘する声が出ている。

 

 

《高速鉄道アレはテロでしょ!》

 

《これは、テロだよね~ そう考えると東京は平和だったのかな》

 

《TGV、破壊行為って...五輪はテロを呼んでしまうのか》

 

「規模や、同時多発という組織性を考えれば、今回の犯行が政治的な意図をもったテロである可能性が高そうです。ただ、フランス当局も、日本のメディアもその多くがテロという言葉を使っていません」

 

 なぜ、フランスは「破壊行為」という表現を使うのか。元警視庁公安捜査官の松丸俊彦氏が解説する。

 

「『テロ』というワードを使ってしまうと、一気に危険な印象を与えてしまうからでしょう。パリ五輪のお祭りムードに水を差さないために、あるいは動揺を広げないために、あえて『破壊行為』という言葉を使っているのでしょう」

 

 現地では、五輪期間中にあらゆるタイプのテロを想定して備えて、軍も出動しているというが、その備えは完璧ではない。

 

「街じゅうにライフルや銃を持った警察官を配置しているのは、ある意味、当然で、警察官も制服組と私服組を組み合わせて配置していると思います。心配なのは、五輪の競技がおこなわれる競技場が街のなかにあることです。

 

 もしテロが起きて銃撃戦となった場合、街なかでは流れ弾で一般市民に犠牲者が出る可能性があります。警察官も、人混みの中で撃つことに躊躇すると思いますし、非常にやりにくいと思います」(松丸氏、以下同)

 

 とくに危険なのは、セーヌ川の「スナイパースポット」だ。

 

「アメリカのトランプ前大統領も高所から狙撃されたように、川は、いろいろなところから見下ろすことができます。当然、川の両岸はしっかり警備態勢を敷くと思いますが、建物や樹木に登るなど、心配なポイントのすべてに警察官を配置するのは無理でしょう。

 

 しかも、開会式は選手たちが船に乗って約6kmほどパレードします。私たちは、狙撃犯が狙いを定めて潜んでいる場所を『スナイパースポット』と呼ぶのですが、選手たちは川を移動するわけですから、スナイパースポットは必然的に多くなります。ビルや樹木に潜むことができれば、あとは船が進んでくるのを待てばいい。

 

 場所が固定していれば、スナイパースポットをつぶしていけばいいのですが、移動するので、より多くのスナイパースポットが生まれることになり、守る側としては非常にやりにくい。今回はリスクを承知で、前例のない川の上での開会式をおこなうということだと思いますが、警備当局の苦労は多いと思います」

 

 さっそく「破壊行為」が起きてしまったフランス。2度めが起きないことを祈るばかりだ。

( SmartFLASH )

続きを見る

今、あなたにおすすめの記事

社会・政治一覧をもっと見る